住宅ローンの優遇金利とは、銀行が決めた基準金利から差し引く「引下げ幅」のことです。三菱UFJ銀行の例では、基準金利3.375%から2.13%を引いた1.245%が実際の金利(2026年9月)。審査では、これより高い審査金利で返済負担率が計算されます。
この記事でわかること
- 基準金利・優遇金利・審査金利がそれぞれ何の数字か
- 適用金利が「基準金利−引下げ幅」で決まる仕組みと、借入後の動き方
- 当初期間優遇と全期間優遇の違い
- 優遇金利がなくなる・小さくなるのはどんなときか
- 審査金利の違いで、借りられる額がどこまで変わるか(年収600万円で試算)
出典: 三菱UFJ銀行「住宅ローンの金利の仕組み」/三菱UFJ銀行「返済比率(返済負担率)とは」/国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」(2026年10月7日に確認)
引下げ幅は銀行ごとに違い、同じ年収でも審査の結果で適用金利が変わります。自分の条件で各行の金利がどこまで下がるか、先にまとめて見ておくと比べやすいでしょう。
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優遇金利・基準金利・審査金利の違い
優遇金利とは、基準金利から差し引かれる金利の幅のことです。銀行によって「引下げ幅」「優遇幅」とも呼ばれます。
名前の似た数字が4つ出てくるのが、住宅ローンの金利のややこしいところ。どれも「年○%」で書かれますが、使われる場面ははっきり分かれています。
住宅ローンで出てくる4つの金利(2026年10月7日時点の各行の説明より)
| 名前 | 何の数字か | どこで使うか |
|---|---|---|
| 基準金利(店頭金利) | 銀行が決める住宅ローンの「定価」 | 適用金利を計算するもとになる |
| 優遇金利(引下げ幅) | 基準金利から差し引く幅 | 審査の結果や取引の条件で決まる |
| 適用金利 | 基準金利−引下げ幅。実際に払う金利 | 毎月の返済額の計算 |
| 審査金利 | 審査のときだけ使う、高めの金利 | 返済負担率(年収に占める返済の割合)の計算 |
三菱UFJ銀行は、基準金利を「定価」、優遇幅を「割引額」、適用金利を「割引後の価格」にたとえています。広告で目にする「年0.9%〜」のような数字は、たいてい割引後の適用金利です。
審査金利だけは性格が違います。返済額の計算には使わず、「金利が上がっても返せるか」を見るために銀行の中で使われる数字です。
適用金利は「基準金利−引下げ幅」で決まる
適用金利は、基準金利から引下げ幅を引いた金利。借りたあとに変わるのは、たいてい基準金利のほうです。
引下げ幅は契約のときに決まり、あとから変わらない
三菱UFJ銀行の説明では、優遇幅は契約時に決まり、原則として借入後に変更できません。引下げ幅を広げたい場合は、別の銀行への借り換えになります。
そのため変動金利では、基準金利が上がった分だけ適用金利も上がります。同行が公表している例を見ると、この動きがよくわかるはずです。
変動金利・全期間2.13%引下げの例(三菱UFJ銀行の公表値・年率)
| 適用時期 | 基準金利 | 適用金利 |
|---|---|---|
| 2024年1月 | 2.475% | 0.345% |
| 2024年10月 | 2.625% | 0.495% |
| 2025年4月 | 2.875% | 0.745% |
| 2026年3月 | 3.125% | 0.995% |
| 2026年9月 | 3.375% | 1.245% |
引下げ幅2.13%は5回とも同じで、基準金利の上げ幅0.9%がそのまま適用金利に乗っています。
3,000万円・35年なら、返済額は月1万2千円ほど違う
この0.9%の差を、3,000万円・35年(元利均等・ボーナス返済なし)の毎月返済額に直してみました。
3,000万円・35年の毎月返済額(試算)
| 適用金利 | 毎月の返済額 |
|---|---|
| 0.345%(2024年1月) | 75,838円 |
| 1.245%(2026年9月) | 88,154円 |
差は月12,316円です。ただし5年ルールのある変動金利では、返済額は5年ごとにしか見直されません。その間は返済額が同じまま、元金の減り方が遅くなります。仕組みは変動金利の5年ルール・125%ルールにまとめています。
引下げ幅は固定、動くのは基準金利
- 基準金利
- 2.475%
- 引下げ幅
- −2.13%
- 適用金利
- 0.345%
- 基準金利
- 3.375%(+0.9%)
- 引下げ幅
- −2.13%(同じ)
- 適用金利
- 1.245%(+0.9%)
図:変動金利・全期間引下げでは、基準金利の上げ幅がそのまま適用金利に乗る(三菱UFJ銀行の公表例)。
変動金利の基準金利は、多くの銀行で短期プライムレートをもとに決まり、日本銀行の政策金利の影響を受けます。金利がこの先どう動きうるかは住宅ローン金利は今後どうなる?で整理しました。
当初期間優遇と全期間優遇はどう違う
引下げ方には2つの型があります。どちらにするかは借りるときに決め、あとから変えられない銀行が多い点に注意してください。
引下げの2つの型(三菱UFJ銀行・auじぶん銀行の説明より)
| 型 | 引下げの続き方 | 選ばれやすい場面 |
|---|---|---|
| 全期間優遇(通期優遇) | 完済まで同じ幅で引き下げる | 変動金利で借りるとき |
| 当初期間優遇 | 最初の固定期間に大きく引き下げ、その後は幅が縮む | 固定期間選択型で借りるとき |
auじぶん銀行も「当初期間引下げプラン」と「全期間引下げプラン」の2つを用意しています。同行の案内では、プランは借入時に決め、借入後に変更できません。
当初期間優遇は、最初の金利がいちばん低く見えます。そのかわり固定期間が終わると引下げ幅が小さくなり、その時点の基準金利から計算し直されます。見積もりを比べるときは、固定期間が終わったあとの引下げ幅まで見ておくと安心です。
変動・固定・固定期間選択の違いそのものは住宅ローン金利の3タイプで比べています。
優遇金利がなくなる・小さくなるのはどんなときか
引下げは一度決まれば安泰、とは限りません。銀行の案内から読み取れる場面を並べます。
- 当初期間優遇の期間が終わったとき:引下げ幅が縮み、適用金利が上がる
- 借入の条件で上乗せがつくとき:auじぶん銀行は物件価格の80%を超える借入で年0.045%、35年1ヶ月以上の返済期間で年0.1%を上乗せ
- 引下げの条件を満たさなくなったとき:他のサービスの契約などを条件にした引下げは、その条件がもとになっている
- 返済が滞ったとき:引下げを止めて店頭の基準金利に戻すと定めている金融機関がある
auじぶん銀行の「金利優遇割」は、携帯電話や電気などの契約を条件に1つ年0.05%、最大で年0.15%を引き下げる仕組みです(2026年10月7日現在)。条件付きの引下げを使うなら、その契約を続けられるかも一緒に考えておくことになります。
返済が滞ると、基準金利のまま払うことになりかねない
JAしまねの金利引下げ制度の案内(2023年4月〜2024年3月の取扱い分)に、その定めがありました。引下げの期間中に返済の滞りなどがあれば引下げを中止し、店頭基準金利に引き上げる、という内容です。どこまでを「滞り」とするかは、契約ごとに確かめるしかありません。
先ほどの3,000万円・35年の例で、2026年9月の基準金利3.375%がそのまま適用されると、毎月の返済額は121,824円です。1.245%のときより月3万円以上重くなります。
優遇が小さくなる4つの場面
- 借りたあとに引下げ幅が変わるのはいつ?
- 1当初期間優遇の期間が終わる引下げ幅が縮み、その時点の基準金利で計算し直す
- 2借入条件で上乗せがつく例:物件価格80%超で年0.045%、35年1ヶ月以上で年0.1%(auじぶん銀行)
- 3引下げの条件を満たさなくなる他の契約を条件にした引下げは、その契約が前提
- 4返済が滞る引下げを止めて店頭の基準金利に戻す例がある
3,000万円・35年で基準金利3.375%が適用されると、毎月の返済額は121,824円
図:引下げ幅は契約で決まるが、条件を外れると小さくなったり、なくなったりする。
返済が苦しくなりそうなときは、遅れる前に借入先へ相談するのが先です。対処の順番は住宅ローンが払えないときの対処法で書きました。
審査金利で借入可能額はどこまで変わるか
審査金利とは、審査のときに返済負担率を計算するための金利です。審査金利が1%上がると、借りられる額は数百万円単位で減ります。
三菱UFJ銀行は、審査が実際の借入利率より高く設定された「審査金利」で計算されること、その利率は金融機関ごとに違い開示されていないことを説明しています。審査で重視される返済負担率の目安は、税込年収の35%以内です。
返済負担率はほとんどの銀行が見ている
国土交通省の「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」では、返済負担率を融資の審査項目にしている機関が90.9%でした。年収(94.2%)や完済時の年齢(98.4%)と並ぶ、ほぼ全行共通の項目です。
フラット35は基準を公表しています。年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下。年間の返済額には、車のローンや教育ローン、カードローンも入ります。
年収600万円の借入可能額を、審査金利別に試算
年収600万円・返済負担率35%・35年返済で、ほかの借入がない場合を計算しました。毎月の返済の上限は175,000円です。
年収600万円・返済負担率35%・35年の借入可能額(試算)
| 審査に使う金利 | 借りられる額の目安 |
|---|---|
| 1.245%(適用金利と同じ場合) | 約5,955万円 |
| 2.0% | 約5,283万円 |
| 3.0% | 約4,547万円 |
| 3.5% | 約4,234万円 |
| 4.0% | 約3,952万円 |
同じ年収でも、審査に使う金利が1.245%か4.0%かで2,000万円近く違います。三菱UFJ銀行は、借入可能額の目安は各行のサイトのシミュレーションで確かめられるとしています。適用金利で計算した額より低く出たら、審査金利の差を思い出してください。
借入可能額は「審査金利×返済負担率」で決まる
- 年収600万円・35年・他の借入なし
- 1返済の上限を出す600万円×35%÷12=月175,000円
- 2審査金利で逆算する1.245%なら約5,955万円、4.0%なら約3,952万円
- 3ほかの借入があれば差し引く車のローンやカードの分割払いも年間返済額に入る
審査を通る額と、無理なく返せる額は別に考える
図:審査金利は返済額の計算には使わないが、借りられる上限を決める。
ただし、審査を通る額がそのまま無理なく返せる額とは限りません。年収別の「返していい額」の目安は住宅ローンは年収の何倍が目安?で早見表にしています。
審査金利は公表されていないので、借りられる額は申し込んでみるまで正確にはわかりません。複数行の適用金利と借入見込みを先に並べておけば、どの銀行に事前審査を出すか決めやすくなります。
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事前審査の結果で確かめたい欄
事前審査の結果や見積もりが届いたら、適用金利の数字だけで比べないようにしてください。同じ1%台でも、中身が違うことがあります。
- 基準金利(店頭金利): どの数字から引いているか。変動なら、今後はこの数字が動く
- 引下げ幅: 何%引いているか。申込内容や取引の条件で変わる(三菱UFJ銀行)
- 引下げの期間: 全期間か、当初の固定期間だけか
- 上乗せ金利: 借入割合・返済期間・団信の種類で上乗せがないか
- 引下げの条件: ほかのサービスの契約など、続ける必要がある条件はないか
引下げ幅が大きい銀行が、いちばん低い適用金利とは限りません。基準金利そのものが銀行ごとに違うからです。各行の金利を並べて見るなら住宅ローン比較が早いと思います。
借りたあとに引下げ幅を見直してもらえないかは、住宅ローンの金利交渉はできる?で扱っています。
よくある質問
Q1:住宅ローンの優遇金利とは何ですか?
基準金利から差し引かれる金利の幅のことです。基準金利3.375%から2.13%を引けば、実際に払う適用金利は1.245%になります(三菱UFJ銀行の2026年9月の例)。引下げ幅・優遇幅とも呼ばれます。
Q2:基準金利と適用金利の違いは何ですか?
基準金利は銀行が決める住宅ローンの定価、適用金利は引下げ幅を差し引いた実際の金利です。変動金利で全期間引下げなら、基準金利が上がると同じ幅だけ適用金利も上がります。
Q3:審査金利は何パーセントですか?
銀行は審査金利を公表していません。三菱UFJ銀行も、実際の借入利率より高く設定され、金融機関ごとに異なると説明するにとどめています。年収600万円・返済負担率35%なら、審査金利が3%で約4,547万円、4%で約3,952万円が上限の目安です。
Q4:優遇金利がなくなることはありますか?
あります。当初期間優遇の期間が終わったときは、引下げ幅が縮むのが一般的です。引下げの条件を満たさなくなったときや、返済が滞ったときに引下げを止める定めを置く金融機関もあります。契約書と商品説明書の「金利の引下げ」の項を確かめてください。
Q5:借りたあとに優遇幅を変えてもらえますか?
原則として変わりません。三菱UFJ銀行は、優遇幅は契約時に決まり借入後は原則変更できないと説明しています。より大きな引下げを受けたいなら、借り換えを考えることになります。
まとめ
- 優遇金利とは、基準金利から差し引く引下げ幅のこと
- 実際に払うのは適用金利=基準金利−引下げ幅。三菱UFJ銀行の例では3.375%−2.13%=1.245%(2026年9月)
- 引下げ幅は契約時に決まり、借りたあとに動くのは基準金利のほう
- 全期間優遇は完済まで同じ幅、当初期間優遇は固定期間のあとに幅が縮む
- 条件の上乗せ・条件の不成立・返済の滞りで、引下げが小さくなることがある
- 審査金利は非公表。年収600万円なら審査金利の違いで借入可能額が2,000万円近く変わる
見積もりを比べるときは、適用金利の横に基準金利と引下げ幅、引下げの期間を書き出してみてください。数字が4つそろうと、借りたあとに何が動くのかまで見えてきます。
基準金利・引下げ幅・借入見込みは、銀行ごとに出してもらうと手間がかかります。自分の年収と物件の条件で各行の数字をまとめて並べてから、事前審査を出す銀行を絞るのも1つの方法です。
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免責事項
※本記事は三菱UFJ銀行・auじぶん銀行・住宅金融支援機構・国土交通省などの公表資料(2026年10月7日に確認)をもとに整理した一般的な解説です。返済額と借入可能額は、元利均等返済・ボーナス返済なし・金利一定などを仮定した目安で、実際の金利・引下げ幅・審査の結果は金融機関と申込内容により異なります。借入の判断は各金融機関の最新情報をご確認のうえ、必要に応じてファイナンシャルプランナー等の専門家へご相談ください。
