連帯債務と連帯保証の違いは、住宅ローンの「債務者になるか・保証人になるか」です。連帯債務は夫婦2人が同等の債務者となり、住宅ローン控除も持分に応じて2人分使えます。連帯保証は主債務者1人だけが債務者で、連帯保証人は控除も団信も使えません(国税庁タックスアンサー No.1213/2026年時点)。
この記事でわかること
- 連帯債務と連帯保証の責任範囲・控除・団信の違いを1枚の表で把握できる
- 連帯保証人が催告・検索の抗弁を持たないという法的な立場の違い
- 住宅ローン控除を2人分使えるのはどちらか、持分と負担割合の贈与税リスク
- 団信で誰の万一に備えられるか(夫婦連生団信の有無)
- 「どちらになるか」は自分で選べず金融機関・収入合算の方式で決まるという現実
公的情報源: 国税庁タックスアンサー(参照)/住宅金融支援機構 フラット35(参照)/e-Gov 法令検索 民法(参照)

まず結論:連帯債務と連帯保証の違いは「債務者か・保証人か」
連帯債務とは、夫婦2人が同じ1本の住宅ローンについて、それぞれ全額の返済義務を負う債務者になる方式です。連帯保証とは、夫婦の一方だけが債務者になり、もう一方は返済を保証する連帯保証人になる方式です。
違いは「保証人が債務者になるかどうか」の一点に集約されます。ここが変わるだけで、住宅ローン控除・団信・持分の扱いが大きく変わります。
まず全体像を1枚の表で押さえてください。各項目の中身は、次のH2以降で分解します。
連帯債務と連帯保証の違い(早見表)
| 比較軸 | 連帯債務 | 連帯保証 |
|---|---|---|
| 立場 | 夫婦2人がともに債務者 | 主債務者1人+連帯保証人 |
| 返済義務 | 2人とも全額の義務 | 保証人は主債務者の滞納時に負担 |
| 住宅ローン控除 | 2人分(持分・負担割合に応じて) | 主債務者の1人分のみ |
| 団信 | 夫婦連生(デュエット)で両方も可 | 主債務者のみ・保証人は不可 |
| 物件の持分 | 2人で共有 | 主債務者のみ |
| 主に扱う商品 | フラット35など | 民間銀行の収入合算に多い |
連帯保証人は、控除も団信も持分も得られません。「返済義務だけを負い、税や保障のメリットは受けられない」のが連帯保証人の立場です。
夫婦で借りる方法にはこのほか、2人が別々に契約する「ペアローン」もあります。3タイプの全体像はペアローン・連帯債務・単独ローンの選び方で整理しています。
責任範囲の違い|連帯保証人には「催告・検索の抗弁」がない
結論から書くと、連帯債務者も連帯保証人も、銀行から全額を請求されたら断れない点は共通です。ただし、法的な立場はまったく違います。
連帯債務者は、最初から自分の債務として全額の返済義務を負います。夫婦2人がそれぞれ「自分が借りた人」として銀行と向き合う立場です。
連帯保証人は、あくまで主債務者の返済を保証する立場です。ただし「連帯」保証人であるため、通常の保証人が持つ催告の抗弁権・検索の抗弁権を持ちません(民法第454条・e-Gov 法令検索で条文を確認できます)。
「まず本人に請求して」と言えない
催告の抗弁とは「先に主債務者へ請求してほしい」と主張できる権利、検索の抗弁とは「主債務者に財産があるからそちらで回収して」と主張できる権利です。
連帯保証人はこの2つを持たないため、主債務者が払える状態でも、銀行はいきなり連帯保証人へ全額を請求できます。「保証人だから軽い」という感覚は、連帯保証では通用しません。
| 権利 | 通常の保証人 | 連帯保証人 | 連帯債務者 |
|---|---|---|---|
| 催告の抗弁(先に本人へ請求を) | あり | なし | ―(自分が本人) |
| 検索の抗弁(本人の財産から回収を) | あり | なし | ―(自分が本人) |
| 全額を請求される可能性 | 補充的 | あり | あり |
責任の重さという意味では、連帯保証人も連帯債務者も「実質的に全額を背負う」と考えておくのが安全です。連帯保証人の詳しい役割は住宅ローンの連帯保証人とはで解説しています。
住宅ローン控除の違い|2人分使えるのは連帯債務
住宅ローン控除で見ると、2人分を使えるのは連帯債務、連帯保証は主債務者の1人分だけです。ここが税メリットの最大の差になります。

住宅ローン控除は、控除率0.7%でローン残高に応じて所得税・住民税が戻る制度です。控除期間は新築で最長13年、中古で10年が原則です(国税庁タックスアンサー No.1213/2026年時点)。
対象は「自分が債務者として借りたローン」です。連帯保証人は債務者ではないため、連帯保証人は住宅ローン控除を一切使えません。
| 組み方 | 控除を使える人 | 控除の分け方 |
|---|---|---|
| 連帯債務 | 夫婦2人とも | 連帯債務の負担割合に応じて各自 |
| 連帯保証 | 主債務者のみ | 主債務者が1人分 |
連帯債務の場合、夫婦それぞれが自分の負担割合分のローン残高に対して控除を受けます。共働きで2人とも所得税・住民税を納めているほど、2人分をフルに使える連帯債務が有利になりやすい構造です。
具体的な還付額の目安は住宅ローン控除はいくら戻るで年収別に試算しています。
持分と負担割合を一致させないと贈与税
見落とされがちですが、ここが実務で最も重要な注意点です。連帯債務で物件を共有名義にするとき、登記する持分割合を「実際にお金を出した割合(負担割合)」と一致させる必要があります。
たとえば夫が7割・妻が3割の資金を出したのに、持分を50:50で登記すると、差額が夫から妻への贈与とみなされ贈与税の対象になり得ます(国税庁 タックスアンサー No.4423)。
連帯債務の負担割合・持分割合は、頭金の出し方とローンの負担をもとに決めます。「なんとなく半分ずつ」で登記しないことが、後の税務トラブルを避ける鍵です。
団信の違い|連帯保証人は保障の外
団信(団体信用生命保険)で見ると、連帯保証人は原則として団信に入れません。万一のときに残債が消えるのは主債務者だけです。
連帯保証型では、主債務者に万一があれば団信で残債が消えます。しかし連帯保証人に万一があっても残債は1円も減りません。世帯収入が減ったまま返済が続くリスクを、正面から受け止める必要があります。
一方、連帯債務型ではフラット35の「夫婦連生団信(デュエット)」のように、夫婦どちらに万一があっても残債が全額消える商品を選べます(住宅金融支援機構 フラット35)。ただしデュエットは金利が上乗せされます(目安として年0.1〜0.2%程度・詳細は最新の商品概要でご確認ください)。
| 組み方 | 団信に入れる人 | 万一時に消える残債 |
|---|---|---|
| 連帯債務(デュエット加入) | 夫婦両方 | どちらが亡くなっても全額 |
| 連帯債務(主債務者のみ加入) | 主債務者のみ | 主債務者の死亡時のみ |
| 連帯保証 | 主債務者のみ | 主債務者の死亡時のみ(保証人死亡では消えない) |
団信の穴を補うには、生命保険で不足分をカバーする設計が現実的です。既契約の生命保険と重複しないよう、団信とあわせて保障を組むのが安全です。
持分・借入可能額・離婚時の違い
控除と団信のほかにも、押さえておきたい3つの軸があります。持分・借入可能額・離婚時の扱いです。
- 持分:連帯債務は2人で共有、連帯保証は主債務者のみ
- 借入可能額:どちらも収入合算で単独より増える
- 離婚時:どちらも「片方だけ抜ける」ことは原則できない
持分(物件の所有権)
連帯債務では夫婦2人が債務者になるため、物件も負担割合に応じた共有名義にするのが原則です。連帯保証では債務者は主債務者だけなので、持分も主債務者のみが持ちます。
借入可能額
どちらも収入合算により、単独で借りるより借入可能額を増やせます。世帯年収別の借入可能額の目安は共働きの住宅ローンはいくらまでで早見表にしています。
ただし借入可能額の上限まで借りると、片方が育休や退職で収入が止まったときに家計が一気に苦しくなります。「借りられる額」ではなく「片方でも返せる額」を基準にするのが堅実です。
離婚時の扱い
連帯債務も連帯保証も、離婚したからといって片方だけがローンの責任から自動的に外れることはできません。債務者・保証人から外れるには、借り換えや売却などの手続きが必要です。
離婚後の名義とローンの整理は離婚と住宅ローンの名義で判断軸を整理しています。
どちらになるかは「自分で選べない」|金融機関と方式で決まる
ここが多くの解説で抜けているポイントです。「連帯債務にしたい」「連帯保証にしたい」と自分の希望で選べるわけではありません。使う商品・金融機関と、収入合算の方式で自動的に決まります。

大まかな傾向は次のとおりです。
| 使う商品・組み方 | 多くの場合の型 |
|---|---|
| フラット35で夫婦連帯 | 連帯債務型 |
| 民間銀行の収入合算 | 連帯保証型が主流(連帯債務型を扱う銀行もある) |
| 夫婦が別々に2本組む | ペアローン |
つまり「控除を2人分使いたいから連帯債務にしたい」なら、連帯債務型を扱う商品(フラット35など)を選ぶという逆算になります。銀行によって扱う型が違うため、収入合算を考えるなら「その銀行はどの型か」を最初に確認してください。
親の収入を合算する場合は、親子リレーローンという別の選択肢もあります。
契約前に押さえる3つの注意点
最後に、連帯債務・連帯保証を選ぶ前に必ず確認したい3点を整理します。
- 持分=負担割合:連帯債務の共有名義は出資割合どおりに登記する(贈与税を避ける)
- 団信の穴:連帯保証人・非加入の配偶者は保障の外。生命保険で補う設計を最初から組む
- 将来の働き方:育休・退職の可能性を見込み、片方でも返せる返済額に抑える
これらは金額の大小より、35年後の家計の安全度を左右する論点です。数字の試算だけで迷ったときは、無料FP相談ランキングで相談先を選び、控除・団信・返済額をまとめて整理してもらうと判断が早まります。
よくある質問
Q1:連帯債務と連帯保証はどちらが得ですか?
住宅ローン控除と団信のメリットで見れば、2人分の控除と夫婦連生団信を使える連帯債務が有利になりやすいです。
ただし連帯債務はフラット35など扱う商品が限られ、共有名義の登記や持分割合の管理も必要です。金利や商品性を含めた総合判断が大切です。
Q2:連帯保証人でも住宅ローン控除は使えますか?
使えません。住宅ローン控除は自分が債務者として借りたローンが対象で、連帯保証人は債務者ではないため控除の対象外です(国税庁タックスアンサー No.1213)。
控除を夫婦2人分使いたい場合は、連帯債務型かペアローンを選ぶ必要があります。
Q3:連帯保証人は団信に入れますか?
原則として入れません。連帯保証型では団信に加入するのは主債務者だけで、連帯保証人に万一があっても残債は消えません。
保証人側の万一に備えるには、生命保険で不足分をカバーする設計が現実的です。
Q4:連帯債務だと持分はどう決めますか?
実際にお金を出した割合(負担割合)に合わせて持分を登記します。頭金の出し方とローンの負担割合をもとに決めるのが原則です。
出資割合と持分がずれると、差額が贈与とみなされ贈与税の対象になり得ます(国税庁タックスアンサー No.4423)。
Q5:離婚したら連帯保証人・連帯債務者から外れられますか?
離婚しても自動では外れられません。債務者・保証人から外れるには、借り換えや売却などの手続きが必要です。
残った側が単独で借り換えられるかは、その人の収入・信用状況によります。契約前に離婚時のシナリオも一度話しておくと安全です。
- 連帯債務と連帯保証の違いは「債務者になるか・保証人になるか」の一点
- 住宅ローン控除を2人分使えるのは連帯債務、連帯保証は主債務者の1人分のみ
- 連帯保証人は控除も団信も持分も得られない(返済義務だけを負う立場)
- 連帯債務は夫婦連生団信(デュエット)で両方の万一に備えられる
- どちらになるかは自分で選べず金融機関と収入合算の方式で決まる
連帯債務か連帯保証かは、税・保障・責任のバランスで決まります。「借りられる額」ではなく「35年後まで無理がないか」で選ぶために、控除・団信・返済額をまとめて確認してから契約に進んでください。
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免責事項
※本記事は民法・国税庁・住宅金融支援機構等の公開情報をもとにした一般的な整理であり、税務・法務のアドバイスではありません。住宅ローン控除の適用要件・税制・団信の商品内容は年度や金融機関により異なり、改正される場合があります。個別の契約・税務判断は各金融機関の最新情報や重要事項説明書をご確認のうえ、FP・税理士・銀行など有資格者へご相談ください。
