住宅特定改修特別税額控除|国税庁ルールで補助金を差し引く控除額の計算【2026年申告】

住宅特定改修特別税額控除とは?補助金を差し引く計算方法と申請書の書き方【2025年版】

この記事でわかること

  • 住宅特定改修特別税額控除の基本式と「補助金を差し引く」ルール
  • 2026年(2025年実施工事)対応の主要補助金プログラム一覧と差引対象
  • 5種類の改修工事ごとの控除上限・工事費上限(省エネ・バリアフリー・耐震・同居対応・認定長期優良住宅化)
  • 補助金あり5パターンの計算シミュレーション(実務で示される金額感)
  • 住宅ローン控除との選択適用ルールと判断軸、申告書「計算明細書」の書き方

公的情報源: 国税庁タックスアンサー コード1218〜1228/国土交通省 住宅ローン減税・リフォーム税制

目次

住宅特定改修特別税額控除とは|対象工事5種と控除率10%

住宅特定改修特別税額控除とは、自己資金で省エネ・バリアフリー・耐震・同居対応・認定長期優良住宅化などのリフォームをした年に、その費用の一部を所得税から直接差し引ける税額控除です。控除率は10%で、対象工事費の上限は工事の種類により200〜500万円です。

対象となる工事の種類と控除対象限度額・控除率は次のとおりです。

対象工事の種類控除対象限度額太陽光を含む場合控除率
省エネ改修250万円350万円10%
バリアフリー改修200万円10%
多世帯同居改修250万円10%
認定長期優良住宅化250〜500万円350〜600万円10%
子育て対応改修(2024年新設)250万円10%

耐震改修のみを行う場合は、本控除ではなく「住宅耐震改修特別控除」(限度額250万円)の対象です。補助金を受け取った場合は、その補助金を工事費から差し引いてから控除額を計算します(詳しい差引計算は後述します)。

補助金とセットでリフォームを検討中なら、見積もりと補助金活用の整理から始めると進めやすくなります。

結論を先に書きます

住宅特定改修特別税額控除は、自己資金で省エネ・バリアフリー・耐震・同居対応・認定長期優良住宅化の5種類のリフォームを行った年に、所得税から直接差し引かれる税額控除です。

最大の落とし穴は補助金。国や自治体から補助金を受け取った場合、その額を工事費から差し引いてから控除額(原則10%)を計算します。差引を忘れると過少申告となり、修正申告を求められる典型例です。

この記事の要点
  • 控除率は10%、対象工事費の上限は工事種類により200〜350万円
  • 受け取った補助金は全額を工事費から差し引いてから控除額を計算する
  • 控除しきれない分は省エネ・バリアフリー改修に限り翌年度住民税からも控除可能
  • 個別の税務判断は最寄りの税務署または税理士に確認する

つまずく原因は計算式そのものではなく、補助金の差引処理です。多くの解説が「補助金なし」を前提にしているため、補助金ありで計算を誤る方が少なくありません。本記事ではその差引を一手順ずつ分解し、ありがちな5パターンを具体的な金額で示します。

国税庁ルールの結論|補助金は「控除対象額」を出す前に差し引く

最初に、検索でよく問われる「補助金を控除対象額からどう差し引くのか」に一文で答えます。国税庁の計算では、補助金は控除率をかける前の段階で「標準的な費用の額」から差し引くのが原則です。式にすると次のとおりです。

国税庁ルールの控除額の出し方
  • 控除対象額(A)min(標準的な費用の額 − 補助金等、 控除対象限度額)
  • 控除額 = 控除対象額(A)× 10%(+限度超過分B × 5%)

つまり補助金は「控除額」から引くのではなく、控除対象額を計算する一番手前で引きます。引いた後の金額を控除対象限度額(工事種類ごとの上限)と比べ、少ない方が控除対象額(A)です。

検索でよく混同される3つの「工事費」を、先に整理します。

検索でよく使う語国税庁での正式な意味補助金との関係
対象工事費・工事費実際に業者へ払った請求額この段階では引かない(基礎にしない)
標準的な費用の額国土交通省告示の単価で算定した額(増改築等工事証明書に記載)ここから補助金を差し引く
控除対象額(控除対象限度額)補助金差引後の額を工事種類ごとの上限で頭打ちした額差引・上限適用の結果

「対象工事費(実費)から補助金を引く」と思い込むと、標準的な費用の額との差で計算がずれます。差引の相手は実費ではなく標準的な費用の額です(詳細は後述)。

住宅特定改修特別税額控除の基本|「税額控除」の構造を3分で理解する

結論からいうと、この控除は所得税額から直接差し引かれる「税額控除」です。所得から差し引く「所得控除」と違い、減税効果がそのまま金額に直結します。

自己の所有する家屋に省エネ・バリアフリー・耐震・同居対応・認定長期優良住宅化のいずれかの改修を行うと対象になります。根拠は国税庁タックスアンサー コード1219と、バリアフリー・耐震・同居対応の各コードです。

住宅ローン控除との違いは「ローンがなくても使える」点

住宅ローン控除との最大の違いは、住宅ローンがなくても自己資金の工事なら申請できることです。

一括払いでリフォームした場合や、退職金で工事をした場合でも、対象工事と所得要件を満たせば申請できます。一括払いは対象外と思われがちですが、ローンの有無は要件ではありません。認知度が低く、取りこぼされやすい控除です。

対象となる5種類の改修工事と控除率

対象工事と、各工事の控除率・対象工事費上限は次のとおりです。

改修の種類主な工事内容控除率対象工事費上限最大控除額
省エネ改修断熱材設置・窓の複層ガラス化・高効率給湯器等10%250万円(太陽光含む場合350万円)25万円(35万円)
バリアフリー改修手すり設置・段差解消・廊下拡幅等10%200万円20万円
耐震改修耐震診断に基づく補強工事10%250万円25万円
同居対応改修キッチン・浴室・トイレの増設等10%250万円25万円
認定長期優良住宅化耐久性向上+省エネ等の組合せ10%250〜500万円25〜50万円

控除額は所得税額から直接差し引かれます。所得税が少なくて控除しきれないとき、省エネ改修・バリアフリー改修については翌年度の住民税からも一部控除できます(後述)。

耐震改修・同居対応改修は所得税からのみの控除です。所得税が少ない年は控除を使い切れないケースがある点に注意してください。

改修工事の種類別|控除対象限度額と国税庁コード対応表

各改修には「控除対象限度額(標準的な工事費用相当額の上限)」が定められています。控除額の基本式は A×10%+B×5% で、Aがこの限度額までの部分です。

下表は令和6年・令和7年(2024〜2025年)に居住を開始した場合の限度額と、根拠コードの対応です。いずれの工事も、補助金等の交付を受ける場合は補助金控除後の費用で判定します。

改修工事の種類国税庁の根拠控除対象限度額(A)太陽光を含む場合控除率
バリアフリー改修No.1220200万円10%
省エネ改修No.1219250万円350万円10%
多世帯同居改修No.1221250万円10%
認定長期優良住宅化No.1227250〜500万円350〜600万円10%
子育て対応改修(2024年新設)No.1228250万円10%

耐震改修のみの場合は、本控除でなく「住宅耐震改修特別控除」(国税庁No.1222・限度額250万円)の対象です。

認定長期優良住宅化は組み合わせで限度額が変わります。耐久性向上改修を省エネと併せて行う場合は250万円(太陽光ありで350万円)、耐震・省エネ両方と併せる場合は500万円(同600万円)です。

適用期限はいずれも令和7年(2025年)12月31日までに居住を開始した工事まで。子育て対応改修は令和6年(2024年)4月1日以降の居住開始分が対象です。

補助金を受けた場合の「差引計算」が必須|過少申告を避けるルール

ここが本記事の核心です。国・自治体・事業者から受け取った補助金・給付金は、工事費用から差し引く必要があります

これは同一工事に対して「補助金(公費負担)」と「税額控除(減税)」の二重恩恵を防ぐルールで、租税特別措置法41条の19の3に根拠があります(e-Gov 法令検索で条文確認が可能)。

国税庁の規定は「標準的な費用の額」から差し引く|実費からではない

ここは多くの解説が取りこぼす最重要ポイントです。差し引く相手は実際に払った工事費ではなく、国税庁が定める「標準的な費用の額」です。

国税庁タックスアンサー コード1219の原文でも、控除の基礎を次のように定義しています。

国税庁コード1219の原文(省エネ改修)
  • 一般省エネ改修工事の標準的な費用の額(工事の費用に関し補助金等の交付を受ける場合には、その補助金等の額を控除した後の金額

つまり計算で扱う金額は、次の3つを区別する必要があります。

用語意味出どころ
実際の工事費業者へ実際に払った請求額請求書・領収書
標準的な費用の額国土交通省告示の単価で算定した工事費増改築等工事証明書に記載
控除の基礎(A)「標準的な費用の額 − 補助金」を控除対象限度額で頭打ちした額上記から算定

標準的な費用の額は実費より低く出ることが多く、補助金はこの標準額から差し引きます。実務では建築士・施工会社が発行する「増改築等工事証明書」に標準的な費用の額が記載されるため、申告ではその数値を使います。

この「標準的な費用の額」の単価は固定ではありません。国土交通省・財務省の告示で定期的に見直されており、住宅特定改修・耐震改修・認定住宅の各標準的工事費用は令和2年(2020年)以降の工事分から改定が入っています(全国住宅産業協会 標準的な費用の額の見直し)。つまり同じ工事内容でも居住開始年によって標準額(=控除の基礎)が変わるため、自分で実費から概算した控除額と、証明書の標準額ベースの控除額は一致しないのが通常です。最終的な控除対象額は、必ず増改築等工事証明書に記載された数値で確定させてください。

本記事の後半のシミュレーションは、わかりやすさを優先して「実費 ≒ 標準的な費用の額」とみなした概算です。実際の申告では、増改築等工事証明書に記載された標準的な費用の額を基礎にしてください。

なぜ差し引かなければならないのか

補助金を差し引かずに申告すると「過少申告」として税務署から指摘を受ける場合があります。リフォーム融資の相談では、補助金の入金を忘れて満額で申告してしまうケースが目立ちます。

「補助金は別物」という思い込みが、後日の修正申告につながる典型的な症状です。

基本的な計算の流れ

差引のステップは次の4つに分解できます。

  1. 実際の工事費を確認する:例 断熱改修工事費 300万円
  2. 受け取った補助金を確認する:例「先進的窓リノベ2024」60万円
  3. 控除対象工事費を算出:300万円 − 60万円 = 240万円
  4. 控除額を計算(10%):240万円 × 10% = 24万円

上限額(省エネ改修250万円、太陽光含む場合350万円)を超える部分は対象外です。複数の補助金を受け取った場合は、すべて合算して差し引きます。

補助金の対象工事や見積額は、複数のリフォーム会社を比較すると把握しやすくなります。

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2026年(2025年実施工事)対応の主要補助金一覧と差引対象

2026年の確定申告で申告する方が対象となる主な住宅補助金と、差引の注意点をまとめました。国土交通省 住宅ローン減税・リフォーム税制と各省庁の公式情報に基づきます。

補助金プログラム対象工事最大補助額目安差し引き要否
先進的窓リノベ2024窓断熱(交換・内窓設置)最大200万円必要
子育てエコホーム支援事業高断熱住宅新築・省エネリフォームリフォームは最大30〜60万円必要
給湯省エネ2024事業高効率給湯器設置(エコキュート等)機器により2〜13万円必要
断熱窓への改修促進等事業(公庫融資)断熱改修全般対象融資との組み合わせ要確認
介護保険 住宅改修費バリアフリー改修上限20万円(負担割合差引後)必要
各自治体の省エネ補助金断熱・省エネ設備自治体により異なる必要

補助金プログラムは毎年更新されます。リフォーム会社の見積書に「補助金活用予定」と書かれていても、申請が通らないケースや、上限差引後の入金額がさらに減るケースがあります。

確定申告では、見積もり段階の予定額でなく 実際の交付決定通知書の金額で差し引く ことが大切です。最新情報は国土交通省・環境省・経済産業省の公式サイトで確認してください。

控除対象限度額を超えた分はどうなる?|10%枠と5%枠への差引順序

工事費が控除対象限度額を超えても、超過分がすべて切り捨てられるわけではありません。控除額は次の二段構えで計算します。

区分対象になる費用控除率上限
A(10%枠)対象改修工事の標準的な費用相当額(補助金控除後)10%工事種類ごとの控除対象限度額
B(5%枠)限度額を超える部分+その他の増改築等工事の費用5%A+Bの合計で1,000万円(1,000万円−Aが上限)

控除額は A×10%+B×5% で求めます。補助金はまず対象工事の標準的な費用(A)から控除し、控除対象限度額と比較して少ない方をAとして確定させます。

たとえば省エネ改修の標準的な費用300万円で補助金20万円を受けた場合、補助金控除後は280万円。うち限度額250万円までがA(250万円×10%=25万円)、超過した30万円とその他の増改築等工事費がB(5%)の対象です。

補助金を差し引かず300万円のまま計算すると過大控除となり、修正申告の原因になります。

補助金別・計算シミュレーション5パターン|申告で使う金額感

実務でよく示される金額感の典型5パターンを並べます。概算であり、扶養人数・他の控除等で実額は変動する点はご了承ください。

シミュレーション①:窓断熱リフォーム+先進的窓リノベ補助金

項目金額
実際の断熱窓工事費(窓5箇所)280万円
先進的窓リノベ2024 補助金100万円
控除対象工事費(補助金差引後)180万円
省エネ改修の控除上限(250万円以内)対象全額
控除額(10%)18万円

補助金を引いてから10%をかける流れが、すべてのパターンの基本になります。

シミュレーション②:バリアフリー改修+介護保険給付

項目金額
バリアフリー改修費(手すり・段差解消)80万円
介護保険 住宅改修費(上限20万円・1割負担後の給付分)18万円
控除対象工事費(補助金差引後)62万円
控除額(10%)6万2,000円

介護保険の給付分も「補助金」として差引対象です。見落としやすいので注意してください。

シミュレーション③:省エネ改修で上限を超えた場合

項目金額
断熱改修総工事費400万円
受け取った補助金80万円
補助金差引後320万円
省エネ改修の控除上限250万円(上限あり)
控除対象工事費(上限適用後)250万円
控除額(10%)25万円

補助金差引後でも上限250万円を超える場合は、超過分が10%枠から外れます。

シミュレーション④:子育て世帯の省エネリフォーム

項目金額
断熱窓・壁断熱工事費200万円
子育てエコホーム支援事業 補助金40万円
控除対象工事費(補助金差引後)160万円
控除額(10%)16万円

子育て世帯向けの補助金も、もちろん差引対象になります。

シミュレーション⑤:省エネ改修+太陽光発電を含む(上限350万円)

項目金額
断熱改修+太陽光発電設置 総工事費500万円
受け取った補助金(窓リノベ+自治体)120万円
補助金差引後380万円
省エネ改修+太陽光の控除上限350万円
控除対象工事費(上限適用後)350万円
控除額(10%)35万円

太陽光発電を含むと上限が350万円に上がります。補助金が大きいほど控除対象工事費は小さくなりますが、補助金(公費負担)と税額控除(減税)は別制度で両方申請できるため、合算した実質負担軽減額は自己資金のみの場合より大幅に有利です。

複数の改修工事を同年に組み合わせた場合の計算

同じ年に省エネ改修とバリアフリー改修の両方を実施した場合は、工事の種類ごとに控除上限を適用して合算します。両方やる方が迷いやすいポイントです。

省エネ改修200万円+バリアフリー改修80万円を実施した例を表にすると、次のようになります。

工事種類実工事費補助金差引後適用上限控除対象
省エネ改修200万円30万円170万円250万円170万円
バリアフリー改修80万円18万円62万円200万円62万円
合計280万円48万円232万円232万円

控除額は 232万円 × 10% = 23万2,000円 です。

1つの工事に複数の補助金が下りる場合(自治体補助金+国の補助金など)は、すべて合算して差し引きます。「自治体補助金は地域独自だから関係ない」という思い込みは、税務調査で指摘される典型例です。

控除しきれない場合の翌年度住民税控除(省エネ・バリアフリーのみ)

所得税が少なく控除額を全額差し引けない場合、省エネ改修・バリアフリー改修については翌年度の住民税から一部を控除できます。耐震改修・同居対応改修は所得税からのみで、住民税への持越しはできません。

改修種類住民税からの控除可否控除上限(住民税分)
省エネ改修控除額の5%または12.5万円のいずれか少ない額
バリアフリー改修控除額の5%または7.5万円のいずれか少ない額
耐震改修不可
同居対応改修不可

住民税控除は居住する市区町村への申告が必要な場合があります。確定申告書の提出時に税務署で確認してください。

所得税が小さい年(育休年・退職年など)に工事をすると、控除をほとんど使えないことがあります。工事の時期を所得税額が多い年に合わせる、という逆算も現実的な判断軸です。

住宅ローン控除との関係|「同年・同工事」での選択適用ルール

住宅特定改修特別税額控除と住宅ローン控除は、原則として同じ年に両方受けられます。ただしリフォームローン控除(租税特別措置法41条の3の2)は、同一工事に対して住宅特定改修と 選択適用 です。

確定申告書を作成する際に、どちらの控除を適用するか確認が必要です。国税庁タックスアンサー コード1218でも、この選択適用ルールが説明されています。

どちらを選ぶかの判断軸

どちらが有利かは「借入額」「工事費」「控除期間」「所得税額」で決まります。判断の目安は次のとおりです。

条件有利になりやすい控除
自己資金中心(借入なし or 少額)住宅特定改修特別税額控除
住宅ローンを10年以上組む大型リフォーム住宅ローン控除(借入金等特別控除)
所得税額が小さい(年収400万円未満)住宅特定改修(住民税控除も使えるため)
長期にわたる控除期間が魅力(10〜13年)住宅ローン控除

リフォーム会社の試算書では「住宅ローン控除=最大455万円」と派手な数字が並びがちで、「住宅特定改修=最大25万円」が控えめに見えます。

ですが自己資金で50万〜250万円規模のリフォームをする方には、住宅特定改修の方が実額メリットが大きいケースが多くあります。複雑なケースは税理士または税務署にご相談ください。

どちらの控除が有利か迷う場合は、借入や返済の前提を含めてFPに整理してもらうと判断が早まります。

FP相談のメリットと使い方を確認する

申告書の書き方|「計算明細書」5ステップ

確定申告では「住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書(国税庁書式)」を使用します。国税庁 確定申告書等作成コーナーでブラウザ上から入力できます。

記入は次の5ステップで進めます。

  1. 改修工事の種類を選択
  2. 「対象工事費等の額」を記入
  3. 「補助金等の額」を差し引く
  4. 「標準的な費用の額」と比較して少ない方を採用
  5. 控除額を計算(10%)して申告書に転記

ステップ1:改修工事の種類を選択

省エネ・バリアフリー・耐震・同居対応・認定長期優良住宅化から、実施した工事を選択します。複数該当する場合は工事の種類ごとに記入欄が分かれます。

ステップ2:「対象工事費等の額」を記入

実際の工事費(消費税込み)を記入します。リフォーム業者の最終請求書・領収書の金額がベースです。複数業者に発注した場合は各請求額を合算します。

ステップ3:「補助金等の額」を差し引く

受け取った補助金・給付金・贈与等の合計額を記入して差し引きます。複数の補助金がある場合は合算します。「交付決定通知書」または「振込確認書」の実額に基づきます。

ステップ4:「標準的な費用の額」と比較して少ない方を採用

国土交通省告示の「標準的な工事費用」と実際の工事費を比較し、少ない方を控除対象工事費とします。これは実費が高すぎる場合に標準額へ揃える公的均衡ルールです。

標準的工事費の単価は国土交通省の告示で示され、リフォーム会社が「増改築等工事証明書」内で計算した数値を採用するのが一般的です。

ステップ5:控除額を計算(10%)

控除対象工事費 × 10% = 控除額(上限は工事種類により25万円・35万円・50万円等)。この金額を計算明細書に書き、申告書B様式の「税額控除」欄に反映します。

申請に必要な書類一覧

申告に必要な主な書類と取得先は次のとおりです。

書類取得先
住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書国税庁(e-Tax・税務署窓口)
増改築等工事証明書建築士・登録住宅性能評価機関
補助金等の交付決定通知書補助金の交付元(国・自治体・事業者)
工事請負契約書のコピー施工会社
工事代金の領収書のコピー施工会社
登記事項証明書法務局
源泉徴収票(会社員の場合)勤務先
マイナンバー確認書類+本人確認書類

「増改築等工事証明書」は施工会社・登録住宅性能評価機関・一級建築士が発行します。発行費用は数千円〜数万円かかる場合がありますが、これがないと税額控除を申請できません。

工事完了後すぐに発行を依頼するのが安全です。契約時に「証明書発行は契約に含まれているか」を確認しておくと安心できます。

控除を取り損ねる典型パターン|申告前に押さえる落とし穴

「申請したのに使い切れなかった」「申請自体を忘れた」というパターンを5つに整理します。

パターン原因影響の目安
1. 補助金の差引漏れ業者任せで「補助金は別物」と思い込む修正申告・過少申告加算税のリスク
2. 増改築等工事証明書の発行漏れ施工会社との連携不足申請自体ができないリスク
3. 所得税額が小さくて控除を使い切れない育休・退職・所得減少年に工事控除額の半額〜全額が消える
4. リフォームローン控除との選択を誤る選択適用ルールを知らない有利な制度を逃す
5. 申告期限を過ぎる確定申告期間(2月16日〜3月15日)の認識不足更正の請求で5年以内なら可能だが手間増

パターン1の「補助金差引漏れ」が最頻の症状です。見積書には「補助金活用後の自己負担額」が書かれているケースが多く、申告書では「総工事費」と「補助金額」を別々に記入するため、自己負担額だけで申告すると差引が反映されません。

パターン3も盲点です。退職金で工事をした場合、退職所得は分離課税のため本表の所得税額に反映されず、控除を使えない金額が出ます。育休年・産休年も同様で、「いつ工事を実施するか」は控除メリットに直結します。

住宅特定改修特別税額控除に関するよくある質問(FAQ)

Q1:補助金を差し引かずに申告するとどうなりますか?

補助金と税額控除の二重取りとして、過少申告に該当する可能性があります。税務署から修正申告を求められることがあるため、受け取った補助金を工事費から差し引いてから申告してください。

修正申告では過少申告加算税・延滞税の対象になる場合があります。最初から正しく申告するのが、結果的にいちばん負担の小さい方法です。

Q2:複数の補助金を受けた場合、全額差し引きますか?

はい、受け取った補助金の合計額を差し引きます。国の補助金・自治体の補助金・介護保険給付・事業者キャンペーン等、複数受けた場合はすべて合計して工事費から差し引いてください。

「自治体補助金は地域独自だから関係ない」という思い込みは、後日の税務調査で指摘される典型例です。

Q3:補助金が工事費を超えた場合はどうなりますか?

控除対象工事費がゼロになります。補助金が工事費と同額または上回る場合は、住宅特定改修特別税額控除の申請はできません。

複数の高額補助金を併用した場合などに発生し得る、極めて例外的なケースです。

Q4:いつまでに申請が必要ですか?

工事が完了した年の確定申告(翌年2〜3月)で申請します。会社員でも初回は確定申告が必要です。

住宅ローン控除と異なり、住宅特定改修は単年度控除のため、翌年以降の継続申請は不要です。

Q5:所得税が少なくて控除しきれない場合はどうなりますか?

省エネ改修・バリアフリー改修は翌年度の住民税からも控除できます(上限あり)。耐震改修・同居対応改修は所得税からのみで、住民税への持越しはできません。

住民税控除の上限は、控除額の5%または7.5〜12.5万円のいずれか少ない額です。

Q6:住宅ローン控除と同時に使えますか?

リフォームローン控除と住宅特定改修特別税額控除は、同一工事に対して選択適用となります。どちらが有利かを申告前に確認してください。

一方、新築の住宅借入金等特別控除と既存住宅のバリアフリー改修等は、別工事として両方適用できるケースもあります。複雑なケースは税務署か税理士にご確認ください。

Q7:中古住宅を購入して改修した場合も対象になりますか?

はい、対象になります。中古住宅を取得後、自己居住前または居住開始後一定期間内に改修工事を実施した場合、要件を満たせば対象です。

詳細は国税庁タックスアンサー コード1221コード1222を参照してください。

Q8:「増改築等工事証明書」はどこで発行してもらえますか?

施工会社や登録住宅性能評価機関、一級建築士が発行します。工事完了後に発行を依頼してください。発行費用は数千円〜数万円かかる場合があります。

これがないと税額控除を申請できません。契約時に「証明書発行は契約に含まれているか」を確認しておくとスムーズです。

Q9:補助金は実際の工事費と標準的な費用の額、どちらから差し引きますか?

「標準的な費用の額」から差し引きます。国税庁タックスアンサー コード1219でも、控除の基礎を「標準的な費用の額(補助金等の交付を受ける場合はその額を控除した後の金額)」と定義しています。

標準的な費用の額は国土交通省告示の単価で算定され、増改築等工事証明書に記載されます。実費より低く出ることが多いため、実費から引いた金額と一致しない場合があります。申告では証明書の標準的な費用の額を基礎にしてください。

Q10:補助金は「対象工事費」と「控除対象額」のどちらから差し引きますか?

控除対象額を計算する手前で、標準的な費用の額から差し引きます。順序は「標準的な費用の額 − 補助金等 → 控除対象限度額と比べて少ない方を控除対象額(A)→ A×10%」です。

実際に払った対象工事費(実費)から引くのではない点に注意してください。国税庁の控除対象額は実費ではなく標準的な費用の額が基礎のため、「対象工事費から補助金を引いた額×10%」で出した自己流の概算とは金額がずれます。

まとめ|補助金との差引と工事タイミングが控除メリットを左右する

住宅特定改修特別税額控除の要点は、次の5点に集約されます。

この記事のまとめ
  • 対象工事は省エネ・バリアフリー・耐震・同居対応・認定長期優良住宅化の5種類
  • 受け取った補助金を工事費から差し引いてから控除額を計算する(過少申告防止)
  • 2026年対応の主要補助金(先進的窓リノベ・子育てエコホーム・給湯省エネ等)も差引対象
  • 控除率は10%、対象工事費の上限は工事種類により200〜350万円
  • 控除しきれない場合は省エネ・バリアフリー改修に限り翌年度住民税からも控除可能

補助金の交付決定通知書・増改築等工事証明書・実際の工事費領収書の3点セットは、工事完了から確定申告までの間、手元に揃えておいてください。控除制度・補助金プログラムは毎年変更されます。申告前に最新の国税庁公式情報または税理士に確認することをおすすめします(2026年5月時点)。

補助金とセットでリフォームを進めるなら、複数社の見積もり比較が費用と補助対象の把握に役立ちます。

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免責事項

※本記事は公開情報をもとにした一般的な整理であり、税務アドバイスではありません。制度内容・補助金・控除額は変動するため、最終的な申告・控除の判断は最寄りの税務署またはFP・税理士など有資格者へご確認ください。

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この記事を書いた人

銀行任せの契約で35年間に約300万円損しかけた経験から、住宅ローンを徹底研究。「専門用語を使わずに、一番得する銀行を選ぶ」がモットー。10行以上の仮審査や借り換えを実践した経験を元に、ユーザー目線の本音情報を発信しています。

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