ペアローンのデメリットは主に5つ。①離婚時に契約2本を別々に処理する重さ ②団信は各自の契約分しか残債が消えない ③片働き化で返済が詰まる ④諸費用が2契約分かかる ⑤控除は所得税額で頭打ち。借入可能額は4タイプで最大でも、35年後のリスクは単独ローンより重くなります。
この記事でわかること
- ペアローンのデメリットを「お金・保障・将来リスク」の3系統・5類型で把握できる
- もっとも処理が重い離婚時に、契約2本がどう足かせになるか
- 団信の穴(亡くなった人の契約分しか残債が消えない構造)を図で理解できる
- 諸費用2契約分・控除の頭打ちという見落としがちな2つの誤算
- ペアローンが向く人・避けるべき人と、避けたい場合の代替案
結論:借入可能額は最大でも、リスクは単独ローンより重い
ペアローンは、夫婦がそれぞれ別契約で借りる組み方です。借入可能額は4タイプで最大に伸ばせます。
ただし、その裏返しでデメリットも最大になります。契約が2本走るぶん、離婚・死亡・片働き化といった35年間の変化に、単独ローンより弱い構造だからです。
- ペアローンのデメリットはお金・保障・将来リスクの3系統で5つに整理できる
- もっとも重いのは離婚時。契約2本を別々に処理し、互いの連帯保証も外れない
- 団信は各自加入でも、亡くなった人の契約分しか残債が消えない
- 控除は2人分取れても、片方が育休・低所得だと所得税額で頭打ちになる
ペアローンを「借りられる額が増えるお得な方法」とだけ理解して進めると、後で足をすくわれます。デメリットを1つずつ具体的に見ていきましょう。
ペアローンのデメリットは大きく5つ(お金・保障・将来リスク)
ペアローンのデメリットは、「お金」「保障」「将来リスク」の3系統・5類型に分けると整理できます。バラバラに覚えるより、系統で押さえるほうが判断に効きます。

まず全体像を1枚にまとめます。細部はこのあとのH2で1つずつ見ていきます。
| 系統 | デメリット | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| お金 | 諸費用が2契約分 | 事務手数料・印紙税などが2本分かかる |
| お金 | 控除の頭打ち | 2人分取れても所得税額を超えて戻らない |
| 保障 | 団信の穴 | 亡くなった人の契約分しか残債が消えない |
| 将来 | 片働き化リスク | 収入が半減すると返済が一気に詰まる |
| 将来 | 離婚時の重さ | 契約2本を別々に処理・連帯保証も外れない |
出典: 住宅金融支援機構「フラット35のご案内」のペアローン・収入合算の定義、および各行の団信商品概要をもとに整理(jhf.go.jp 2026年7月閲覧)。
このうち、影響がもっとも大きいのは「将来リスク」の2つです。順に見ていきます。
離婚時が最重:契約2本を別々に処理しなければならない
ペアローン最大のデメリットは、離婚時の処理の重さです。不快なテーマですが、35年契約では避けて通れません。
理由はシンプルで、ペアローンは1つの物件に対して契約書が2本走るから。売却や借り換えで整理するとき、この2本を同時に片づける必要があります。
さらに、夫婦は互いの契約の連帯保証人になっています。そのため片方だけがローンから抜けることは、原則できません。名義を外すには借り換えや残債の一括返済が必要になります。
| 組み方 | 離婚時の処理の重さ |
|---|---|
| 単独借入 | 軽い(名義人が返済継続か売却) |
| 連帯保証型 | 中(保証人を外すには借り換え等) |
| 連帯債務型 | 中〜重(債務者を外すには借り換え等) |
| ペアローン | 重い(契約2本を別々に処理・連帯保証も外れない) |
国民生活センターには、離婚に伴う住宅ローン処理のトラブル相談が繰り返し寄せられており、夫婦で借りたローンの整理は長期化しやすい傾向が示されています(国民生活センター・kokusen.go.jp 2026年7月閲覧)。
「離婚を前提にする」のではありません。「仮にそうなったとき、家とローンをどう整理するか」を契約前に1度だけ話す。それだけで、ペアローンを選ぶかどうかの判断が驚くほどフラットになります。離婚と名義の整理は離婚時の住宅ローンと名義・財産分与で詳しくまとめています。
団信の穴:残債は「亡くなった人の契約分」しか消えない
2つ目のデメリットは、団信(団体信用生命保険)の穴です。ここは誤解している人がとても多いポイントです。
「ペアローンは2人とも団信に入るから安心」と思いがちです。しかし実際は、亡くなった人の契約分の残債しか消えません。

たとえば夫に万一があったとします。団信で消えるのは夫の契約分だけ。妻の契約はそのまま残ります。
つまり、世帯収入が半分に減った状態で、もう一方の返済が続くということ。これがペアローンで見落とされがちな最大の落とし穴です。
対策は、借入の時点で団信の穴を生命保険で補う設計をセットで組むことです。「団信に入っているから保険は不要」という発想が、ペアローンでは通用しません。団信と生命保険の重複を避ける考え方は団信と生命保険の比較で整理しています。
片働き化・諸費用2本分・控除の頭打ちという3つの誤算
残る3つのデメリットは、単体では小さく見えても、重なると効いてきます。「お金」と「将来リスク」の誤算を1つずつ見ていきます。
片働き化:収入が半減すると返済が一気に詰まる
ペアローンは、夫婦2人分の収入がずっと続く前提で設計されます。だからこそ借入可能額を最大まで伸ばせるわけです。
問題は、その前提が崩れたとき。産休・育休・転職・退職・親の介護——共働きが止まると、2人分の返済が1人分の収入に乗りかかります。
住宅金融支援機構の利用者調査では、世帯年収に対する返済負担率の中央値は20〜25%前後に収まっています(住宅金融支援機構・2024年度調査)。
ペアローンで上限まで借りると、片働き化した瞬間にこの水準を大きく超えることがあります。無理のない返済額は住宅ローンの諸費用の内訳とあわせて確認しておくと安全です。
諸費用が2契約分:事務手数料・印紙税がダブルでかかる
ペアローンは契約が2本あるため、契約にひもづく諸費用も2本分かかります。ここは単独ローンとの明確な差です。
| 費用項目 | 単独ローン | ペアローン |
|---|---|---|
| 事務手数料 | 1契約分 | 2契約分 |
| 印紙税 | 1通分 | 2通分 |
| 抵当権設定の登録免許税 | 1件分 | 契約数に応じて増 |
事務手数料が「融資額×2.2%」型の銀行なら、単純に契約数ぶんの手数料が発生します。数十万円単位で初期費用が変わることもあるため、借入可能額の増加と諸費用の増加をセットで見る必要があります。
控除の頭打ち:2人分取れても所得税額を超えて戻らない
「ペアローンは住宅ローン控除を2人分取れる」——これ自体は正しいメリットです。しかし2人分=2倍お得、とは限りません。
控除は、その人が納めた所得税額(+一部住民税)が上限だからです。片方が育休で所得税ゼロの年は、その人の控除枠はほぼ使えません。
国税庁タックスアンサーNo.1213によれば、2024年以降入居の新築住宅は最長13年の控除期間が原則です(国税庁・2026年7月時点)。
両者がしっかり所得税を納めている家計ほど2人分メリットが活きる一方、片方が低所得だと効果は目減りします。控除額の試算は住宅ローン控除はいくら戻るかで確認できます。
ペアローンが向く人・避けるべき人
ここまでのデメリットを踏まえると、ペアローンが向く人と避けるべき人の輪郭がはっきりします。

ペアローンが向く人
- 夫婦とも年収400万円以上で、共働き継続の確度が高い
- 借入可能額を最大化しないと希望物件に届かない
- 団信の穴を生命保険で補う設計を最初から組める
- 控除を2人分フル活用できる所得水準にある
- 離婚・退職・育休のシナリオを事前に話し合える関係性
ペアローンを避けるべき人
- 数年内に片働きになる可能性がある(出産・介護・転職を予定)
- 離婚時に契約2本を処理する重さを負いたくない
- 片方の所得が低く、控除の2人分メリットが活きにくい
- 諸費用を抑えたい/初期費用を2契約分かけたくない
- 手続きや保障設計をできるだけシンプルに保ちたい
避けるべき人に当てはまるなら、無理にペアローンを選ぶ必要はありません。次章の代替案で、借入額を伸ばしつつリスクを抑える組み方を確認してください。
デメリットを回避する代替案(連帯債務・収入合算・単独)
ペアローンのデメリットが気になるなら、別の組み方で「額」と「守り」のバランスを取るという選択肢があります。代替は大きく3つです。
- 連帯債務型:1本の契約に2人が同等の債務者。控除は2人分・団信は夫婦連生型でカバー可
- 収入合算(連帯保証型):契約は1本で借入額を増やせる。ただし保証人側に団信は付かない
- 単独借入:契約も手続きも最もシンプル。離婚・退職の変化に強い
たとえば連帯債務型(フラット35など)は、契約が1本なので離婚時の処理がペアローンより軽く、団信も夫婦連生型を選べば両方をカバーできます。「控除2人分は欲しいが、ペアローンの離婚リスクは避けたい」人に向きます。
一方、共働き継続に不安があるなら、単独借入で無理のない額に収めるほうが35年後は楽になることも多いです。
どの組み方が自分たちに合うかは、借入可能額・団信・控除・離婚時の自由度を横並びで見ると判断できます。4タイプの全体比較はペアローン・連帯債務・単独ローンの選び方で1枚の表にまとめています。
組み方に迷うなら、複数行の条件をまとめて比較できる無料FP相談の比較で、家計と将来設計から逆算してもらうのも手です。
まとめ:ペアローンは「額」でなく「35年後の無理のなさ」で選ぶ
ペアローンのデメリットは、借入可能額が最大になることの裏返しです。最後に要点を整理します。
- ペアローンのデメリットはお金・保障・将来リスクの3系統で5つ
- もっとも重いのは離婚時。契約2本を別々に処理し、連帯保証も外れない
- 団信は各自加入でも亡くなった人の契約分しか消えない(生命保険で補完前提)
- 諸費用は2契約分・控除は所得税額で頭打ち・片働き化で返済が詰まる
- 避けたいなら連帯債務・収入合算・単独で額と守りのバランスを取る
「借りられる額」で選ぶと、後で取り返しがつきません。「35年後まで無理がないか」を軸に、夫婦で組み方を決めてください。
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免責事項
※本記事は住宅金融支援機構・国税庁・国民生活センター等の公開情報をもとにした整理です。特定の金融商品・保険商品の勧誘や推奨を目的とするものではありません。住宅ローン控除の適用要件・税制は年度ごとに改正されます。個別の契約判断は各社の重要事項説明書をご確認のうえ、ファイナンシャル・プランナー(有資格者)・保険代理店・銀行などへご相談ください。
よくある質問
Q1:ペアローンの一番のデメリットは何ですか?
もっとも重いのは離婚時の処理です。ペアローンは契約が2本走るため、売却や借り換えのときに2本を同時に整理する必要があり、互いの連帯保証も原則外れません。国民生活センターにも、夫婦で借りたローンの整理に関するトラブル相談が繰り返し寄せられています。
Q2:ペアローンでも団信に入れば残債は全部消えますか?
いいえ。ペアローンの団信は各自の契約に個別付帯するため、亡くなった人の契約分の残債しか消えません。もう一方の契約は残り、世帯収入が減った状態で返済が続きます。団信の穴を生命保険で補う設計を、借入時にセットで組むのが安全です。
Q3:ペアローンは控除が2人分取れるからお得ですよね?
2人分取れるのは事実ですが、2倍お得とは限りません。住宅ローン控除はその人が納めた所得税額(+一部住民税)が上限のため、片方が育休などで所得が低い年は控除枠を使い切れません。両者が十分に所得税を納めている家計ほど、2人分メリットが活きます。
Q4:ペアローンだと諸費用はどれくらい増えますか?
契約が2本あるため、事務手数料・印紙税・登録免許税などが契約数に応じて増えます。事務手数料が「融資額×2.2%」型の銀行では、単純に契約数ぶんの手数料が発生し、数十万円単位で初期費用が変わることもあります。借入額の増加と諸費用の増加はセットで確認してください。
Q5:ペアローンのデメリットを避けたい場合の代替はありますか?
はい。連帯債務型・収入合算(連帯保証型)・単独借入の3つが代替になります。連帯債務型は契約が1本で離婚時の処理が軽く、団信も夫婦連生型でカバーできます。共働き継続に不安があるなら単独借入で無理のない額に収める選択も有効です。4タイプの全体比較を見て判断してください。
