年俸制・歩合給の住宅ローン審査|年収の数えられ方と借入可能額の考え方【2026年9月更新】

年俸制と歩合給は、住宅ローンの審査ではまったく別物として扱ったほうが実態に合います。年俸制は年間の支給総額が契約で確定した給与、歩合給は成果で動く変動給与だからです。【フラット35】のご利用条件では、給与収入のみの人の年収は給与収入金額と明記されており、歩合が給与として支払われていれば支払金額がそのまま年収の基礎になります。

この記事でわかること

  • 年俸制と歩合給が審査では別物である理由
  • 【フラット35】は給与収入金額をそのまま年収として扱うという公式記載
  • 変動部分の掛目や対象年数は公表されていないという現実
  • 年俸に賞与が含まれる分割型(14分割・16分割など)の見え方
  • 年収の見え方別(全額算入/一部算入/除外)の借入上限の逆算
  • 変動収入の割合が高い人が申込前にそろえるもの

歩合の扱いは金融機関ごとに分かれます。年収と希望額を入れれば、複数行の借入見込みをまとめて確認できます。

目次

結論:年俸制は「確定した給与」、歩合給は「変動する給与」

同じ「毎月の額が一定でない働き方」として一括りにされがちですが、審査での意味はまったく違います

年俸制は、1年間に支払われる給与の総額が契約で決まっている形態です。金額が確定しているという点では、月給制と本質的に変わりません

歩合給は、成果によって金額が動きます。前年に600万円を得ていたとしても、翌年も同じ水準が続くかどうかは契約書からは読み取れません。ここが金融機関にとっての論点になります。

そして、判断の起点になる公式記載があります。住宅金融支援機構の【フラット35】ご利用条件では、年収について「給与収入のみの方は給与収入金額」と明記されています(2026年9月3日確認・ページ内表記は2026年4月1日現在)。

3行でまとめると

  • 年俸制:支給総額が確定している。年俸制であることだけを理由に不利になるとは言えない
  • 歩合給:源泉徴収票の支払金額に含まれていれば年収の基礎に入る。ただし民間行の掛目は非公開
  • 設計の軸:借入額は歩合込みの年収ではなく、固定給で成立する範囲から考える

年収の起点は「源泉徴収票の支払金額」

まず、審査で使われる数字の出どころを固めます。【フラット35】のご利用条件には、次のように書かれています。

【フラット35】の年収の数え方(2026年9月3日確認)

区分年収として使う金額
給与収入のみの人給与収入金額(源泉徴収票などの支払金額)
それ以外の人事業所得・不動産所得・利子所得・配当所得・給与所得の所得金額の合計額
基準となる年原則として申込年の前年の収入を証する公的証明書
1〜5月頃の申込前年の証明書が発行されない時期は金融機関により取扱いが異なる
総返済負担率年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下

出典: 住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件(2026年9月3日確認・ページ内表記「2026.4.1現在」)

ここから読み取れるのは、「給与として支払われているものは、名目が基本給でも歩合でもまとめて給与収入金額になる」ということです。歩合だけを切り離して除外するという記載は見当たりません。

一方で、民間銀行が変動部分をどう扱うかは事情が違います。変動収入に掛目を置く、直近数年の平均で見る、といった運用は広く語られていますが、その率や年数を公式に公表している金融機関は確認できません

だから本記事では、掛目の数字を示しません。確認できないものを表にすると、その数字を前提に借入額を決めてしまう読者を作ってしまうからです。掛目の有無と扱いは、事前審査の申込前に窓口へ確認してください。

年俸制でつまずきやすいのは「分割の仕方」

年俸制のなかでも、確認しておきたい形態があります。年俸を14分割・16分割し、そのうちの数回分を賞与として支給する型です。

年俸の分割型による見え方の違い

支給の形年間の支給総額毎月の手取り審査で気をつけること
12分割(毎月均等)契約で確定一定月々の返済との対応が取りやすい
14分割・16分割(賞与あり)契約で確定月々は少なくなる賞与返済を組むかどうかの判断が要る
年俸+別枠の業績賞与年俸部分のみ確定一定業績賞与は変動収入として説明が必要

どの型でも、年間の支給総額は源泉徴収票の支払金額に反映されます。そのため年収という数字自体は変わりません。

問題になるのは返済の設計です。16分割型は月々の支給額が少なくなるため、月々の返済額を年収基準で組むと家計が詰まります。賞与月に返済を寄せる「ボーナス返済」を組み込む選択もありますが、賞与部分が変動する場合はリスクが上がります。

毎月の返済額は、月々の支給額だけで無理なく払えるかどうかで判断する。これが年俸制の設計で最も効く一線です。

年俸や歩合の扱いは金融機関ごとに分かれます。窓口を1行ずつ当たる前に、年収と希望額から複数行の見込みを並べておくと、聞くべき相手が絞れます。

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歩合の割合が高いときに、年収がどう見えるか

ここからが実額の話です。同じ年収600万円でも、内訳によって借入上限の見え方が変わります

以下は、年収の内訳と算入のされ方を3パターンに置き、【フラット35】の総返済負担率の基準(年収400万円未満30%以下、400万円以上35%以下)から借入上限を逆算した表です。元利均等返済・返済期間35年・ボーナス返済なし・他の借入なしという前提での自前計算であり、実際の審査結果とは異なります。

年収の見え方別の借入上限(固定給400万円+歩合200万円のケース)

年収の見え方判定に使う年収年1.0%で計算年3.0%で計算年3.460%で計算
歩合を全額算入600万円約6,199万円約4,547万円約4,258万円
歩合の70%を算入540万円約5,579万円約4,093万円約3,832万円
歩合の50%を算入500万円約5,166万円約3,789万円約3,548万円
歩合を除外(固定給のみ)400万円約4,133万円約3,031万円約2,839万円

計算前提: 元利均等返済・返済期間35年・ボーナス返済なし・他の借入なし。負担率は【フラット35】の基準(400万円未満30%以下/400万円以上35%以下)を使用。年3.460%は【フラット35】の2026年9月の金利(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下)。2026年9月3日に自前計算した参考値です。⛔ 表中の70%・50%は「もし一部しか算入されなかったら」という仮定であり、特定の金融機関の掛目ではありません。

いちばん上と下では、同じ働き方なのに借入上限が2,000万円前後も開きます。この幅の大きさこそが、変動収入で家を買うときの本当のリスクです。

対策はひとつしかありません。固定給だけで成立する借入額を先に把握しておくことです。上の表なら、年3.460%で約2,839万円。この数字を「下限の安全ライン」として持っておくと、事前審査の回答に一喜一憂しなくて済みます。

念のため、毎月の返済額でも確認しておきます。

借入額別の毎月返済額(返済期間35年・元利均等・ボーナス返済なし)

借入額年1.0%年1.5%年2.0%年3.460%
2,500万円70,571円76,546円82,816円102,744円
3,000万円84,686円91,855円99,379円123,293円
3,500万円98,800円107,165円115,942円143,842円
4,000万円112,914円122,474円132,505円164,391円

計算前提: 元利均等返済・返済期間35年・ボーナス返済なし。2026年9月3日に自前計算した参考値であり、実際の返済額を保証するものではありません。

歩合が落ち込んだ年でも払い切れる金額かどうかを、この表の数字で確かめてください。年3.460%の列は、全期間固定金利で借りた場合に35年間動かない返済額です。

変動収入の割合が高い人が申込前にそろえるもの

説明の材料が手元にあるかどうかで、話の進み方が変わります。歩合の割合が高い人ほど、書類で語らせる場面が増えます

そろえておく5点

  1. 源泉徴収票(直近3年分)
  2. 給与明細(直近数か月分・固定給と歩合の内訳がわかるもの)
  3. 雇用契約書または年俸通知書(支給の形が書かれているもの)
  4. 他の借入れの残高がわかる書類
  5. 手元資金(頭金・諸費用)の残高がわかる書類

2番目が効きます。源泉徴収票は支払金額の合計しか示しません。固定給と歩合の内訳を給与明細で示せると、「固定給だけでも返済できる」という説明が数字で立ちます

必要な年数については、金融機関ごとに異なり公式に明記されていないことが多いため、断定はできません。準備の面では3年分そろえておくと、どの条件にも対応しやすくなります。

やらないほうがいいこと

  • 歩合がいちばん多かった年の年収で借入額を決める:翌年に同じ額が入る保証はない
  • 賞与返済を大きく組む:変動部分に返済を寄せると、成果が落ちた年に返済が詰まる
  • 他の借入れを残したまま申し込む:総返済負担率にはカードローンやリボ払いも含まれる

最後の項目は、【フラット35】のご利用条件にも明記されています。自動車ローン・教育ローン・カードローン・クレジットカードの分割払いやリボ払いも、すべて総返済負担率の計算対象です。変動収入で借入枠を目一杯まで使いたい人ほど、ここを先に片づける価値があります。

年収の目安や返済負担率の安全ラインについては、別記事でも詳しく扱っています。

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よくある質問

Q1:年俸制だと住宅ローンの審査で不利になりますか?

年俸制であること自体を理由に不利になると断定することはできません。年俸制は1年間の給与総額が契約で確定している形態で、金額が確定している点では月給制と大きく変わりません。

【フラット35】のご利用条件(2026年9月3日確認)でも、年収は原則として申込年の前年の公的証明書の金額とされ、給与収入のみの人は給与収入金額を使うと明記されています。年俸制を除外する記載はありません。

Q2:歩合給やインセンティブは年収に入りますか?

【フラット35】では、給与収入のみの人の年収は給与収入金額とされています。歩合やインセンティブが給与として支払われ、源泉徴収票の支払金額に含まれていれば、その金額が年収の基礎になります。

一方で民間銀行が変動部分をどこまで算入するか、掛目を置くかどうかは公表されていません。掛目の数字を推測で示すことは本記事では行いません。

Q3:年俸制と歩合給は同じ扱いですか?

別物として考えたほうが実態に合います。年俸制は年間の支給総額が契約で決まっているため、金額の確定度が高い形態です。

歩合給は成果によって動くため、翌年も同じ水準が続くかどうかを説明する必要があります。同じ年収600万円でも、固定600万円か、固定400万円+歩合200万円かで見方が変わることがあります。

Q4:歩合の割合が高い場合、源泉徴収票は何年分必要ですか?

必要年数は金融機関により異なり、公式に明記されていないことが多いため断定できません。変動収入の割合が高いほど、安定性を確認するために複数年分を求められる傾向があります。

準備の面では、直近3年分をそろえておくと、どの提出条件にも対応しやすくなります。固定給と歩合の内訳がわかる給与明細も一緒に用意してください。

Q5:年俸に賞与が含まれている場合、どう見られますか?

年俸を14分割や16分割し、数回分を賞与として支給する形態があります。この場合も年間の支給総額は契約で確定しているため、源泉徴収票の支払金額には全額が反映されます

ただし毎月の返済に充てられる金額は月々の支給額に依存します。賞与返済を組み込むかどうかは慎重に判断してください。

Q6:歩合給が前年より減っていたら申し込めませんか?

申し込みができなくなるわけではありません。審査で使われるのは原則として前年の年収なので、前年の数字がそのまま基礎になります。

ただし減少傾向が続いているなら、借入額を前年の水準ではなく固定給部分で成立する範囲に抑えるほうが、返済の面では安全です。

この記事のまとめ

  • 年俸制は支給総額が確定した給与、歩合給は変動する給与。審査上は別物として扱う
  • 【フラット35】は給与収入のみなら給与収入金額を年収とすると明記(2026年9月3日確認)
  • 民間銀行の掛目や対象年数は公表されていない。推測の数字を前提に借入額を決めない
  • 年俸の14分割・16分割型は月々の支給額が少なくなる。返済は月々の額で判断する
  • 固定400万+歩合200万のケースでは、算入のされ方で借入上限が2,000万円前後動く(自前試算)
  • 安全ラインは固定給だけで成立する借入額。年3.460%なら約2,839万円が目安(同試算)
  • 総返済負担率にはカードローン・リボ払い・自動車ローンも含まれる。先に整理する

変動収入の働き方は、良い年の数字だけを見ていると借りすぎます。固定給で払い切れる額を先に決めておくほうが、35年の返済ではずっと楽になります。

歩合の扱いは金融機関ごとに差が出ます。事前審査を出す前に、複数行の見込みを並べて条件の合う先を絞っておくと、無駄な申込を減らせます。

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免責事項

※本記事は公開情報をもとにした整理です。年収の算定方法・必要書類・審査の判断・金利は金融機関により異なり、変更されることがあります。本記事の公式記載の引用は2026年9月3日に住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件で確認した内容です。借入上限と返済額の試算は記載の前提条件で計算した参考値であり、実際の審査結果や借入可能額を保証するものではありません。最新の内容は各金融機関の公式情報をご確認のうえ、必要に応じてFP・金融機関など専門家へご相談ください。

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この記事を書いた人

マイホームを買ったとき、銀行にすすめられるまま住宅ローンを契約したTetsuyaです。3年間「こんなものか」と返済を続けていましたが、同僚の借り換え話を聞いて試算サイトに数字を打ち込んだとき、35年で約300万円も損をしかけていたと気づきました。そこからメガバンク・地銀・ネット銀行を含む10行以上の仮審査を自分で回すと、同じ年収・同じ物件でも金利や団信、諸費用がこれほど違うのかと驚かされました。最終的に借り換えを実行し、毎月の返済額と総返済額を圧縮できました。このサイトでは、変動か固定かの考え方、団信の選び方、借り換えのタイミング、住宅ローン控除の使い方を、専門用語をできるだけ避けて整理しています。仮審査は無料です。まずは自分の条件で数字を出してみてください。

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