育休中・産休中でも住宅ローンの申し込み自体はできます。判断を分けるのは雇用形態ではなく、審査で使われる「申込年の前年の年収」と「復職の確からしさ」の2点です。【フラット35】のご利用条件では年収は原則として前年の公的証明書の金額とされており、育休に入る前の年に通常どおり働いていれば、その年収で見られます。
この記事でわかること
- 審査で使われる年収は原則「申込年の前年」という起点(公式実測)
- 育休の開始月と申込年の組み合わせで、年収の見え方がどう変わるか
- 復職の見込みを求められたときに確認しておくこと
- 銀行タイプ別に、公式に書かれていること・書かれていないことの切り分け
- 申込タイミング4案の比較(育休前/育休中/復職直後/復職1年後)
- 年収別の借入上限の逆算表と、育休中に借入額を決めるときの落とし穴
育休中の年収で自分がいくら借りられるかは、金融機関ごとに判断が分かれます。年収と希望額を入れて複数行の見込みをまとめて確認できます。
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結論:申し込みはできる。決まるのは「前年の年収」と「復職の確からしさ」
育休中・産休中であることを理由に、住宅ローンの申し込みが制度上できなくなるわけではありません。判断が分かれるのは「休業していること」そのものではなく、審査で使う数字がどの年のものになるかです。
住宅金融支援機構の【フラット35】ご利用条件を確認すると、申込要件は「申込時の年齢が満70歳未満」「日本国籍・永住許可・特別永住者」「総返済負担率が基準内」の3点で、雇用形態や育児休業中であることを理由に除外する記載はありません(2026年9月3日確認・ページ内表記は2026年4月1日現在)。
一方で民間の銀行は、育休中の取り扱いを公式サイトに書いていないところが大半です。書かれていない=不可、ではありません。個別判断になるだけで、窓口に聞けば答えが返ってきます。
3行でまとめると
- 申込の可否:制度上の門前払いはない。ただし民間行は公式に明記していないため、事前確認が前提
- 年収の見られ方:原則は申込年の前年。育休が年をまたぐと前年の数字が下がる
- 効くこと:復職の見込みを示せるか、そして借入額を「復職後の実際の手取り」で決められるか
審査で使う年収は「申込年の前年」から始まる
先に、いちばん誤解が多いところを固めます。審査で使われるのは、いま手元に入っているお金ではありません。公的な証明書に載った、去年の数字です。
【フラット35】のご利用条件には、年収について次のように書かれています(2026年9月3日確認)。
【フラット35】の年収の数え方(公式記載の要約)
| 項目 | 公式に書かれている内容 |
|---|---|
| 年収の基準 | 原則として、申込年の前年の収入を証する公的証明書に記載する金額 |
| 給与収入のみの人 | 給与収入金額(源泉徴収票などに記載される支払金額) |
| それ以外の人 | 事業所得・不動産所得・利子所得・配当所得・給与所得の所得金額の合計額 |
| 1〜5月頃の申込 | 前年の公的証明書が発行されない時期は、金融機関により取扱いが異なる |
| 総返済負担率 | 年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下 |
出典: 住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件(2026年9月3日確認・ページ内表記「2026.4.1現在」)
ここから2つのことが言えます。
1つ目。育休に入る前の年にフルタイムで働いていれば、その年の年収で見られます。休業に入った瞬間に年収がゼロ扱いになるわけではありません。
2つ目。総返済負担率にはすべての借入れが入ります。自動車ローン、教育ローン、カードローン、クレジットカードの分割払いやリボ払いも合算対象と明記されています。育休で世帯収入が細っている時期ほど、この分母と分子の関係がきつくなります。
なお、民間銀行の審査で使う年収の定義や、育児休業給付を年収に含めるかどうかは、公式サイトに明記されていないことがほとんどです。明記が確認できないものを本記事では断定しません。事前審査の申込前に、申込先へ直接確認してください。
育休の開始月と申込年で「見える年収」はこう変わる
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。前年基準というルールを、カレンダーに置き直すと同じ育休でも申し込む年で数字がまったく違って見えます。
以下は、年の途中で育休に入ったケースを整理した表です。制度の建て付けから導いた考え方の整理であり、審査結果を保証するものではありません。
育休開始と申込年の組み合わせ(前年基準を当てはめた整理)
| 育休の開始時期 | 申し込む年 | 審査で見られる「前年」の中身 | 数字上の傾向 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月に開始 | 2026年中 | 2025年=通常勤務が丸1年 | 育休前の年収がそのまま乗る |
| 2026年4月に開始 | 2027年中 | 2026年=1〜3月のみ勤務 | 前年の年収が大きく下がる |
| 2026年10月に開始 | 2027年中 | 2026年=9か月ぶん勤務 | 減るが、丸1年休んだ年よりは残る |
| 2026年4月開始・2027年4月復職 | 2028年中 | 2027年=4月以降の勤務 | 復職の実績が数字に出始める |
読み方はシンプルです。育休で削られていない年が「前年」に来ているうちに動くほうが、数字の上では有利になります。年をまたいで休業が続くと、前年の年収そのものが下がるからです。
ただし、これは順番の話であって優先順位の話ではありません。物件の引き渡し時期、復職の予定、貯蓄の状況は動かせません。カレンダーの都合だけで無理に前倒しすると、借入額を欲張る方向に働きます。数字が良く見える時期ほど、あとで説明する落とし穴に注意してください。
1〜5月に申し込む場合は、もう一段の注意が要ります。公式に「前年の公的証明書の通知または発行を受けられない時期(1月〜5月頃)に申し込む場合は、金融機関により取扱いが異なることがある」と明記されています。年明けすぐの申込は、どの年の証明書を出すのかを先に聞いておくのが確実です。
「復職する見込み」をどう示すか
前年の年収が確保できていても、もう一つ見られるのが雇用が続くかどうかです。育休は退職ではなく休業なので、雇用関係そのものは続いています。そこを書面で示せるかが実務上の分かれ目になります。
確認しておきたい4点
- 復職予定を証明する書類の名称と様式(金融機関ごとに違う)
- 復職の時期・勤務形態(フルタイムか時短か)を伝える必要があるか
- 復職後の見込み年収を書類で出す必要があるか
- 育休中の給付を年収に含めるかどうかの扱い
書類の名称は、復職証明書・育児休業取得証明書・在籍証明書など、勤務先と金融機関の組み合わせで変わります。公式サイトに様式が公開されていないことも多いため、事前審査の申込前に窓口で確認してください。
勤務先側の手続きにも時間がかかります。人事が証明書を発行するまで1〜2週間かかるケースは珍しくありません。書類の取り寄せを、物件の契約スケジュールの後ろに置かないことが大切です。
時短勤務で復職する予定なら、その前提も早めに伝えておくほうが安全です。あとから返済額を組み直すより、最初から時短後の手取りで設計したほうが、家計の余裕が残ります。
銀行タイプ別に、公式に書かれていることと書かれていないこと
「どの銀行なら育休中でも通るか」を一覧にしたページを探している方は多いはずです。しかし銀行別の可否を公式に明記している例はほとんど見当たりません。推測で○×を作ると、そのまま読者の判断を誤らせます。ここでは、公式に確認できるかどうかで区分します。
申込前に確認すべき項目(借入先タイプ別)
| 借入先タイプ | 公式に確認しやすい項目 | 育休中の扱いが公式に明記されているか | 窓口で聞くべきこと |
|---|---|---|---|
| 【フラット35】 | 申込年齢・国籍・総返済負担率・年収の数え方 | 育休を理由とした除外規定の記載なし | 前年証明書の提出時期、収入合算の可否 |
| メガバンク・地方銀行 | 申込資格の大枠(年齢・安定継続した収入・保証会社の保証) | 明記なしが大半 | 復職見込みの書類、育休中の申込可否 |
| ネット銀行 | 申込資格・団信・手数料 | 明記なしが大半 | 育休中の申込可否、収入証明の代替手段 |
| 勤務先の提携ローン | 提携条件・優遇幅 | 社内制度により異なる | 育休中の利用可否と優遇の継続 |
この表は「公式に書いてあるか」を整理したもので、通る・通らないを示すものではありません。明記がない項目は、電話1本で確認できる範囲です。仮審査を出す前に、可否だけでも先に聞いておくと無駄打ちが減ります。
なお、複数行に同時に申し込むこと自体は禁じられていません。ただし短期間に多数の申込を重ねると、信用情報に申込記録が並びます。数を絞り、条件が合いそうな先から順に出すほうが安全です。
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育休中に借入額を決めるときの落とし穴
審査に通るかどうかより、借りすぎないかどうかのほうが後に効きます。育休中は、世帯の数字が実態より良く見えやすい時期だからです。
育休中に見落としやすい3つのズレ
- 前年の世帯年収がピークに見える:夫婦ともフルタイムだった年が「前年」になるため、いちばん高い数字で審査される
- 復職後の手取りは戻り切らない:時短勤務・残業の減少・保育料の発生で、可処分所得は育休前の水準に戻らないことがある
- 子どもの人数が増える前提が入っていない:2人目以降を考えているなら、休業がもう一度入る前提で返済額を置く必要がある
対処は難しくありません。審査で通る額ではなく、復職後の実際の手取りで組み立てる。これだけです。
参考までに、【フラット35】の総返済負担率の基準(年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下)を当てはめて、借入上限を逆算した表を置きます。返済期間35年・元利均等返済・他の借入なしという前提での試算値であり、実際の審査結果とは異なります。
年収別の借入上限の目安(返済期間35年・元利均等・他の借入なしと仮定)
| 年収 | 負担率 | 年1.0%で計算 | 年3.0%で計算 | 年3.460%で計算 | 年4.0%で計算 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 30% | 約2,657万円 | 約1,949万円 | 約1,825万円 | 約1,694万円 |
| 400万円 | 35% | 約4,133万円 | 約3,031万円 | 約2,839万円 | 約2,635万円 |
| 500万円 | 35% | 約5,166万円 | 約3,789万円 | 約3,548万円 | 約3,294万円 |
| 600万円 | 35% | 約6,199万円 | 約4,547万円 | 約4,258万円 | 約3,952万円 |
| 700万円 | 35% | 約7,233万円 | 約5,305万円 | 約4,968万円 | 約4,611万円 |
計算前提: 元利均等返済・返済期間35年・ボーナス返済なし・他の借入なし。負担率は【フラット35】の基準(400万円未満30%以下/400万円以上35%以下)を使用。年3.460%は【フラット35】の2026年9月の金利(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下)。試算は2026年9月3日に自前計算したもので、実際の借入可能額を保証するものではありません。
表を横に見ると、同じ年収でも金利が1%動くだけで上限が1,000万円単位で変わることがわかります。民間銀行が審査で使う金利は公表されていません。だからこそ、変動金利の低い数字だけを前提に上限いっぱいを借りるのは危険です。
「復職後の手取りでいくらまでなら無理がないか」を先に決めておくと、物件選びの迷いが減ります。世帯の資金計画から相談したい方はこちらから。
申込タイミング4案を比べる
ここまでの材料をまとめて、タイミングを4つに分けて比べます。どれが正解かは、育休の開始月と物件のスケジュールで変わります。
申込タイミングの比較(前年基準と復職見込みの2軸で整理)
| 案 | 前年の年収 | 復職の見込み | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| ① 育休に入る前 | 通常勤務の年収 | 休業予定を伝える必要がある | 育休入りの前に物件が決まっている |
| ② 育休中(年をまたぐ前) | 通常勤務の年収 | 復職予定の書類が要る | 年の途中で育休に入り、その年のうちに動ける |
| ③ 復職直後 | 育休で減った年の年収 | 復職済みで示しやすい | 前年が減っても単独の年収で足りる |
| ④ 復職から1年後 | 復職後の年収が丸1年分 | 実績で示せる | 数字を整えてから安全に通したい |
②が数字の上では有利に見えます。ただし復職の書類が間に合うかどうかがボトルネックになりやすい選択肢です。③は書類が最も揃いやすい一方、前年の年収が下がっているぶん借入額が伸びません。
急いでいないなら④が最も無理のない順番です。前年の年収も復職の実績も揃うため、条件の交渉余地が残ります。
物件が先に決まっている場合は、①か②しか選べません。その場合は借入額を欲張らず、頭金と借入期間で調整するほうが後悔が少なくなります。
つまずいたときに順番に確認すること
事前審査で希望額が下りなかったとき、あるいは回答が保留になったときは、原因を分解してから次を打ちます。やみくもに他行へ出し直すのが、いちばん時間を失う動き方です。
確認する順番
- どの年の年収で審査されたかを聞く(前年か、前々年か)
- 他の借入れが総返済負担率に入っていないかを確認する
- 復職見込みの書類が不足していなかったかを確認する
- 単独で足りないなら、収入合算やペアローンの可否を検討する
- 民間で難しければ【フラット35】の条件に当てはまるかを確認する
とくに2番目は効きます。カードのリボ払いや自動車ローンが残っていると、そのぶん借入可能額が削られます。【フラット35】のご利用条件でも、これらは総返済負担率の計算対象と明記されています。
収入合算やペアローンに進む場合は、育休中の配偶者を合算者に入れられるかどうかが論点になります。組み方によって団信の付き方や離婚時の処理が変わるため、仕組みを理解してから決めてください。
よくある質問
Q1:育休中でも住宅ローンの審査は受けられますか?
申し込み自体はできます。【フラット35】のご利用条件(2026年9月3日確認)の申込要件は、申込時の年齢が満70歳未満であること、日本国籍・永住許可・特別永住者であること、総返済負担率が基準内であることの3点です。育児休業中であることを理由に除外する記載はありません。
民間の銀行は育休中の取り扱いを公式に明記していないところが大半です。可否は個別判断になるため、申込先への確認が確実です。
Q2:育休中は年収がゼロとして見られてしまいますか?
必ずしもゼロにはなりません。【フラット35】のご利用条件では、年収は原則として申込年の前年の収入を証する公的証明書に記載された金額とされています。
育休に入る前の年にフルタイムで働いていれば、その年の年収で判定されます。影響が出るのは、年をまたいで休業が続き、前年の年収そのものが下がったときです。
Q3:育休中に申し込むなら、いつが有利ですか?
数字の上では、育休で削られていない年が「前年」に来ているうちです。年の途中で育休に入ったなら、その年のうちに申し込めば前年は通常勤務の年収になります。
ただし1〜5月頃の申込は、前年の公的証明書がまだ発行されない時期にあたり、取扱いが金融機関によって異なると公式に明記されています。年明けすぐに動くなら、どの年の証明書を出すのかを先に確認してください。
Q4:復職の見込みはどう示せばよいですか?
勤務先が発行する復職予定の証明書を求められることがあります。復職証明書・育児休業取得証明書・在籍証明書など、名称と様式は勤務先と金融機関の組み合わせで変わります。
公式サイトに様式が出ていないことも多いため、事前審査の申込前に窓口で確認するのが確実です。人事の発行に1〜2週間かかることもあるので、契約スケジュールの前に置いてください。
Q5:育休中の給付金は年収に含めてもらえますか?
扱いを公式に明記している金融機関は多くありません。明記が確認できない以上、本記事では算入されるとも算入されないとも断定しません。
安全側に倒すなら、給付を年収に含めた前提で借入額を組み立てないことです。事前審査の段階で扱いを確認し、そのうえで金額を決めてください。
Q6:育休中に借り換えの審査を受けることはできますか?
新規の借り入れと同じく、申し込み自体は可能です。ただし借り換えは返済実績と現在の収入の両方を見られます。
育休で世帯の手取りが下がっている時期は、審査に通っても諸費用の回収に時間がかかることがあります。損益分岐点を先に計算してから動くほうが安全です。
この記事のまとめ
- 育休中・産休中でも申し込み自体はできる。【フラット35】の申込要件に育休を理由とした除外規定はない(2026年9月3日確認)
- 審査で使う年収は原則「申込年の前年」の公的証明書の金額。育休前の年に働いていれば、その年収で見られる
- 1〜5月頃の申込は取扱いが金融機関で異なると公式に明記。どの年の証明書を出すか先に確認する
- 民間行は育休中の扱いを公式に明記していないことが大半。書かれていない=不可ではなく、個別確認の対象
- 総返済負担率には自動車ローン・カードローン・リボ払いも入る。先に整理すると借入可能額が伸びる
- 借入額は審査で通る額ではなく、復職後の実際の手取りで決める。時短・保育料で可処分は戻り切らない
- 急いでいないなら、前年の年収と復職の実績が揃う復職から1年後がもっとも無理のない順番
住宅ローンでいちばんもったいないのは、条件を確かめないまま1行だけで決めてしまうことです。育休中は動きにくい時期ですが、条件を並べて比べる作業だけは早く済ませておくほど選択肢が残ります。
育休中の年収でどこまで借りられるかは、金融機関ごとに判断が分かれます。事前審査に出す前に、複数行の見込みを並べて確認しておくと打ち手を絞れます。
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- 共働きの住宅ローンはいくらまで?世帯年収別の借入可能額
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- 無料FP相談おすすめ比較ランキング|住宅ローンの相談先の選び方
免責事項
※本記事は公開情報をもとにした整理です。審査基準・必要書類・金利・年収の取扱いは金融機関により異なり、変更されることがあります。本記事の公式記載の引用は2026年9月3日に住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件で確認した内容です。借入上限の試算は記載の前提条件で計算した参考値であり、実際の審査結果や借入可能額を保証するものではありません。最新の内容は各金融機関の公式情報をご確認のうえ、必要に応じてFP・金融機関など専門家へご相談ください。
