住宅ローン控除の還付額は「年末残高×0.7%」が基本で、年収500万・借入3,000万円なら年10万円台が目安です。ただし住民税控除の上限9.75万円で頭打ちになる仕組みや年収・借入額別の早見表を整理します。
この記事でわかること
- 住宅ローン控除の基本計算式と「年末残高×0.7%」の意味
- 年収400万・500万・600万・800万×借入2,000万〜5,000万円の還付金概算早見表
- 2024年以降の住宅ローン減税(省エネ基準・子育て世帯特例)の最新変更点
- 初年度の確定申告と2年目以降の年末調整の具体手順
- 「思ったより戻らない」原因=住民税控除上限9.75万円の壁と頭打ちの逆算
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結論を先に書きます
住宅ローン控除の計算式は「年末ローン残高×0.7%」とシンプルです。ただし、この理論値の満額が戻るとは限りません。実際の還付額は、納める所得税と住民税の控除上限で頭打ちになります。
特に効くのが、住民税からの控除上限が一律9.75万円という壁。年収400〜500万円台で借入額が大きいほど、ここで止まります。「いくら戻るか」は年収・借入額・他の控除で変わるため、最後は国税庁の試算ツールで個別計算するのが確実です。
- 計算式は「年末残高×0.7%」。ただし所得税+住民税控除上限で頭打ちになる
- 住民税からの控除上限は一律9.75万円。年収が低いほど満額を使い切れない
- 2024年以降は省エネ性能と世帯属性で借入限度額が変わる
- 「いくら戻るか」は国税庁の確定申告書等作成コーナーで個別計算するのが確実
この記事では、年収別×借入額別の還付金早見表と、現場で相談の多かった「思ったより戻らない」落とし穴を、国税庁・国土交通省の公開情報をもとに整理します。数字はあくまで概算です。最終的な金額は確定申告書等作成コーナーでご確認ください。
住宅ローン控除の仕組みを3分で理解する(基本の計算式)
住宅ローン控除(正式名称: 住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンでマイホームを取得・新築・増改築した方が、一定期間にわたり所得税と住民税の一部を減税できる制度です。根拠は国税庁タックスアンサー No.1211-1(住宅借入金等特別控除の概要)に示されています。
基本の計算式はシンプルです。毎年12月31日時点の年末残高に0.7%をかけた金額が、その年の理論上の控除額になります。
- 年間控除額(理論値) = 年末ローン残高 × 0.7%
- 控除期間 = 新築(省エネ適合)13年 / その他10年
- 控除上限 = 借入限度額 × 0.7%
ここが最大のポイントです。この理論値の満額が戻るとは限りません。住宅ローン控除は「税額控除」の一種で、その年に納める所得税額と翌年度の住民税の一部を上限とした減税制度だからです。
つまり、納めている税金が少ない方は、計算上の控除額を使い切れません。年収400万円台で「シミュレーションだと年28万円戻るはずなのに、20万円しか戻らなかった」という相談は、この仕組みから生まれます。
控除は次の順序で適用されます。

- その年の所得税額から控除する
- 所得税で引き切れなかった分を、翌年度の住民税から控除する(上限あり)
この「翌年度の住民税からの控除」には上限があります。課税総所得金額等の5%、かつ最大9万7,500円までです。住民税の控除上限が一律9.75万円である点が、「思ったほど戻らない」現象の最大の原因になります。詳しくは国土交通省 住宅ローン減税に記載があります。
年収別・借入額別の還付金早見表(あくまで概算)
ここからは、年収別×借入額別のマトリクスで初年度の還付額を概算します。各H2のなかで一番見てほしいのが、この早見表です。前提条件は次のとおりです。
- 会社員・扶養家族なし・社会保険料は年収の約15%で概算
- 2024年以降に入居・省エネ基準適合住宅(控除期間13年)
- 住宅ローンは35年・固定金利1.5%相当(年末残高の概算値)
- 所得控除は基礎控除・社会保険料控除のみで試算(生命保険料控除・iDeCo・ふるさと納税は考慮しない)
- 初年度(入居1年目末)の控除可能額の目安
下表が、住宅ローン控除 初年度の還付金概算早見表(単位: 万円)です。
| 年収 | 所得税の目安 | 借入2,000万円 残高約1,960万 | 借入3,000万円 残高約2,940万 | 借入4,000万円 残高約3,920万 | 借入5,000万円 残高約4,900万 |
|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 約8.6万 | 約13.7万 | 約18.4万 | 約18.4万※2 | 約18.4万※2 |
| 500万円 | 約13.9万 | 約13.7万 | 約20.6万 | 約23.7万※2 | 約23.7万※2 |
| 600万円 | 約20.4万 | 約13.7万 | 約20.6万 | 約27.4万 | 約30.2万※2 |
| 800万円 | 約47.0万 | 約13.7万 | 約20.6万 | 約27.4万 | 約34.3万 |
※1 理論控除額 = 年末残高×0.7%(例: 残高2,940万円→20.58万円)
※2 所得税+住民税の控除上限9.75万円で頭打ちになるケース(理論値の満額を使い切れない)
※3 上記はあくまで概算で、扶養人数・生命保険料控除・iDeCo・ふるさと納税等で実額は変動します。実際は国税庁の確定申告書等作成コーナーで個別計算してください。
この表で見てほしいのが、年収400万円の方は借入4,000万円以上にしても還付額が18.4万円前後で頭打ちになる点です。所得税8.6万円+住民税控除上限9.75万円=約18.4万円が天井になります。
一方で年収800万円の方は所得税枠が47万円ほどあります。

借入5,000万円・残高4,900万円なら、理論値の34.3万円をほぼ満額使い切れる計算です。
ここから言えることは1つ。借入額を増やしても、控除枠が同じだけ増えるとは限らないという点です。借入を増やせば利息は確実に増えますが、控除額は納税額に縛られて頭打ちになります。借入額を決めるときは「いくらまでなら控除を満額使えるか」を逆算するのが現実的な判断軸です。
控除を満額使える借入額を逆算するには、住宅会社の資金計画書を複数社で見比べるのが近道です。資金計画書には控除の試算も含まれます。
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2024年以降の住宅ローン控除の変更点(最新制度)
2022年と2024年に大きな制度改正がありました。2026年(令和8年)入居でも適用される現行ルールを整理します。出典は財務省「令和6年度税制改正の大綱」と国土交通省の公式情報です。
下表が、2024年以降の借入限度額(新築・買取再販)です。
| 住宅性能区分 | 一般世帯 借入限度額 | 子育て・若者夫婦世帯 借入限度額(特例) | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 4,000万円 | 13年 |
| その他の住宅(省エネ非適合) | 原則0円※ | 原則0円※ | — |
※「その他の住宅」のうち2023年末までに新築の建築確認を受けたものは、2024年中入居に限り借入限度額2,000万円・控除期間10年で経過措置あり。2024年以降に建築確認を受けた省エネ非適合住宅は原則として住宅ローン控除の対象外。
主な変更点は次の4点に整理できます。
- 控除率は0.7%で据え置き(2022年改正から継続)
- 省エネ性能を満たさない新築住宅は、原則2024年以降の入居で控除対象外
- 子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額が上乗せ(2025年・2026年入居も特例継続)
- 床面積要件は原則50㎡以上、合計所得1,000万円以下なら40㎡以上に緩和
子育て世帯特例は、令和7年度税制改正で2026年入居まで延長されることが国土交通省から公表されています(国土交通省 報道発表資料)。19歳未満の子を持つ世帯、または夫婦のどちらかが40歳未満の世帯なら、認定長期優良住宅で借入限度額5,000万円・控除期間13年です。
ただし、ここでも理論最大値と実際の還付額は別物です。年収800万円程度でも、所得税47万円+住民税控除上限9.75万円=約57万円/年が現実的な限界ラインになります。制度上の最大値ではなく、自分の納税額で決まるという見方が大切です。
初年度の確定申告のやり方(ステップ形式)
会社員でも自営業でも、住宅ローン控除を初めて受ける年は確定申告が必須です。手順は次の4ステップに分かれます。詳細は国税庁「確定申告書等作成コーナー」(参照)の入力フォームに沿って進められます。
- 必要書類を集める(10月〜1月)
- 確定申告書を作成する(1月〜3月)
- 提出する(2月16日〜3月15日)
- 還付金の入金を確認する
Step 1. 必要書類を集める(10月〜1月)
まず書類集めが最初のヤマです。次の6点を揃えます。
- 住宅ローン年末残高証明書(借入先銀行から10月〜1月に郵送)
- 登記事項証明書(法務局で取得・600円程度)
- 売買契約書または工事請負契約書の写し
- 源泉徴収票(会社員の場合・勤務先から12月に交付)
- マイナンバーカードまたは通知書+本人確認書類
- 認定長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅等は、各種認定通知書の写し
Step 2. 確定申告書を作成する(1月〜3月)
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にブラウザでアクセスし、画面の指示に沿って入力します。源泉徴収票の数字を転記したあと、税額控除のセクションで「住宅借入金等特別控除」を選びます。
入力するのは、住宅性能区分・取得年月日・年末残高です。e-Taxを使う場合はマイナンバーカード+カードリーダー(またはスマホ)が必要になります。
Step 3. 提出する(2月16日〜3月15日)
提出方法は3つから選べます。
- e-Taxによる電子申告(マイナンバーカードがあれば自宅から完結)
- 郵送(所轄税務署宛・通信日付印が3月15日までなら期限内扱い)
- 税務署窓口に持参
電子申告のほうが還付金の入金は早い傾向です。e-Taxで概ね3週間前後、郵送で1〜2か月程度が目安になります。
Step 4. 還付金の入金を確認する
申告書に記載した銀行口座に還付金が振り込まれます。住民税からの控除分は、その年の6月以降の給与天引き額が下がる形で反映されます。給与明細の「住民税」欄が前年より小さくなっているか確認してください。
2年目以降の年末調整への切り替え
初年度に確定申告を済ませた会社員は、2年目以降は年末調整で完結できます。毎年の確定申告は不要になります。
初年度の申告から数か月後に、税務署から「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」が、控除期間の残年数分(9年分または12年分)まとめて郵送されます。これを毎年1枚ずつ使います。
2年目以降の年末調整で必要な書類は次の2点です。
- 税務署から届く「住宅借入金等特別控除証明書」(年ごとに1枚使う)
- 銀行から届く「住宅ローン年末残高証明書」
この2点を勤務先に提出すれば、年末調整で所得税からの控除が処理され、12月の給与で還付されます。住民税からの控除分は翌年6月以降の給与天引き額に反映される仕組みです。
注意点が1つあります。自営業・個人事業主の方は2年目以降も毎年確定申告が必要です。会社員から自営業に転職した年も、その年から確定申告に戻ります。
還付金が思ったより少ない理由とよくある誤解
「思ったより戻らない」には、いくつか決まったパターンがあります。代表的な5つを表で整理します。
| ケース | 原因 | 影響 |
|---|---|---|
| 1. 所得税+住民税控除枠の頭打ち | 年収400〜500万円台で借入額が大きい | 理論値の半分〜7割程度に圧縮 |
| 2. iDeCo・ふるさと納税との控除枠の取り合い | 所得税が他の控除で減り、住宅ローン控除に回す枠が縮小 | 還付額が数万円減ることがある |
| 3. 育休・産休で所得税が低い | その年の課税所得が大幅に下がる | 還付額がほぼ消滅することも |
| 4. 共働きペアローンの片方が低所得 | 低所得側は所得税の納税額が少ない | 共有持分に応じた按分で枠を使い切れない |
| 5. 省エネ基準を満たさない住宅 | 2024年以降入居で対象外 | 還付額ゼロのリスク |
なかでも意外と多いのが、ふるさと納税との併用で起こる住民税控除枠の取り合いです。住宅ローン控除の住民税分(上限9.75万円)と、ふるさと納税の住民税控除分は、同じ住民税という財布から引かれます。
両方をフル活用しているつもりでも、上限の関係でどちらかが圧縮されることがあります。住宅ローン控除1年目はふるさと納税の枠を意識的に絞るのが、取り合いを避ける現実的な目安です。
もう一つの誤解が、「借入を増やせば控除も増える」というイメージです。借入を増やせば年末残高は増えますが、納税額に上限がある以上、控除額は途中で頭打ちになります。利息は確実に増えるため、控除目的での借入増額は逆効果になりやすいと整理できます。
まとめ:実額シミュレーションを取るのが現実的
住宅ローン控除の金額感は、次の3点に集約されます。
- 計算式は「年末残高×0.7%」とシンプルだが、実際の還付額は所得税+住民税控除上限9.75万円で頭打ちになりやすい
- 2024年以降は省エネ性能と世帯属性(子育て・若者夫婦)で借入限度額が変わる
- 借入額は「控除を使い切れる範囲」で逆算するのが利息を抑える判断軸
- 「いくら戻るか」は年収・借入額・他の控除で変動するため、国税庁の確定申告書等作成コーナーで個別計算するのが確実
「自分の場合いくら戻るか」を具体的に把握したい方は、次の手順が現実的です。
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーで源泉徴収票の数字を入れて試算する
- 住宅性能(省エネ住宅区分)が複数選べる場合は、複数社の資金計画書を取り寄せて還付額を含めた総コストで比較する
- 借入額を「控除を使い切れる範囲」で逆算したい場合は、複数の銀行の仮審査と一括資料請求を組み合わせる
住宅会社の資金計画書には、住宅ローン控除の試算が標準で含まれていることが多いです。複数社の試算を並べると、「自分の場合の現実的な還付額」のレンジが見えてきます。間取りプラン+資金計画書+土地探し情報がまとめて届く一括資料請求サービスを使えば、年収別の還付額レンジを短時間で把握できます。
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よくある質問
住宅ローン控除について、相談で頻出した6問を整理します。
Q1:住宅ローン控除はいくら戻りますか?年収500万円で借入3,500万円ならどのくらいですか?
あくまで概算ですが、年末残高3,500万円×0.7%=24.5万円が初年度の理論控除額です。年収500万円・扶養家族なしの会社員の所得税は概ね約14万円前後、住民税からの控除上限が9.75万円のため、合計でおよそ23〜24万円が実際の還付・減税額の目安になります。
実額は扶養人数・社会保険料・他の控除で変動します。国税庁の確定申告書等作成コーナーで個別計算してください。
Q2:住宅ローン控除は何年間受けられますか?
2024年以降に入居する新築住宅で省エネ基準に適合する住宅は最長13年間、その他の住宅(既存住宅・買取再販以外)は最長10年間です。
省エネ基準に適合しない新築住宅は、原則2024年以降の入居では控除対象外です。契約・入居時期と住宅性能の確認が必要になります。最新の制度概要は国土交通省の住宅ローン減税ページに掲載されています。
Q3:所得税で控除しきれなかった分はどうなりますか?
所得税から控除しきれなかった額は、翌年度の住民税から控除されます。上限は課税総所得金額等の5%(最大9万7,500円)です。
年収が低めの方ほどこの上限に達しやすく、理論控除額(残高×0.7%)の満額を使い切れないケースが発生します。年収400万円台で借入額が大きい場合に起きやすいポイントです。
Q4:初年度の確定申告と2年目以降の年末調整の違いは何ですか?
初年度は会社員でも自分で確定申告が必須です。登記事項証明書・住宅ローン年末残高証明書・売買契約書の写し等を添えて、翌年2月16日〜3月15日に税務署へ提出します。
2年目以降は、税務署から届く住宅借入金等特別控除証明書と銀行発行の残高証明書を勤務先に提出すれば年末調整で完了します。自営業・個人事業主は2年目以降も確定申告で対応します。
Q5:ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できますか?
併用は可能です。ただし住宅ローン控除で所得税・住民税が大きく圧縮されると、ふるさと納税の控除上限額が下がる場合があります。
特に住宅ローン控除1年目で確定申告を行う方は、ワンストップ特例制度ではなく、ふるさと納税分も合わせて確定申告する必要があります。シミュレーションは各ふるさと納税ポータルの控除額計算ツールを使うか、税理士へ相談するのが確実です。
Q6:住宅ローン控除の還付金はいつ振り込まれますか?
確定申告書を提出してから概ね1〜2か月後に、申告書に記載した還付金受取口座へ振り込まれます。電子申告(e-Tax)なら早ければ3週間程度で振り込まれるケースもあります。
住民税への控除分は、その年の6月以降の給与天引き額が下がる形で反映されます。具体的なスケジュールは国税庁の確定申告期のお知らせに毎年掲載されます。
詳細は税務署・税理士へ相談を
ここまで国税庁・国土交通省の公開情報をもとに整理しましたが、個別の控除額は状況によって大きく変わります。扶養人数・他の控除・ペアローンの持分などで結果は変動するためです。
正確な金額や個別の税務判断は、所轄の税務署または税理士へご相談ください。確定申告の時期には、税務署で無料の相談窓口も開設されます。
本記事の参照元: 国税庁タックスアンサー No.1211-1(住宅借入金等特別控除の概要)/国土交通省 住宅ローン減税/住宅金融支援機構 フラット35/財務省 税制改正の大綱/国税庁 確定申告書等作成コーナー/e-Gov 法令検索(租税特別措置法)。情報は2026年5月時点の公開情報に基づきます。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
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免責事項
※本記事は公開情報をもとにした整理です。税額・控除額・制度内容は変動するため、最終的な申告・契約の判断は各公式サイトの最新情報をご確認のうえ、必要に応じて税理士・FPなど有資格者へご相談ください。
