住宅ローン控除は2年目以降なら、勤務先の年末調整で完結します。必要書類は税務署から届く申告書と、金融機関から届く年末残高証明書の2点。申告書は残高証明書の年末残高を転記し、0.7%を掛けて控除額を求めます。記入例・間違えやすい点・書類紛失時まで整理します。
この記事でわかること
- 2年目以降は年末調整で完結。初年度だけ確定申告が必要(会社員・公務員の場合)
- 必要書類は2点——税務署発行の「申告書(証明書)」+金融機関発行の「年末残高証明書」
- 申告書は残高証明書の年末残高を転記し0.7%を掛けるだけ。記入欄と間違えやすい点を具体的に
- 書類を紛失したときの再発行、2024年以降の調書方式(残高証明書が不要になる場合)まで整理
公的情報源: 国税庁「住宅借入金等特別控除(No.1213)」/年末調整/対象となる住宅ローン等(No.1225)/国土交通省 住宅ローン減税
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結論:2年目以降の住宅ローン控除は年末調整で完結する
会社員・公務員の場合、住宅ローン控除は2年目以降なら年末調整で申請できます。確定申告が必要なのは初年度だけです。
やることはシンプルで、税務署と金融機関から届く書類2点を勤務先に提出し、申告書の残高欄を埋めるだけ。難しい計算はほとんどありません。
この記事の要点
- 手続き:初年度は確定申告、2年目以降は年末調整(給与所得者の場合)
- 書類:税務署の申告書+金融機関の年末残高証明書の2点を勤務先へ
- 書き方:残高証明書の年末残高を転記し、0.7%を掛けて控除額を出す
以下で、必要書類・申告書の記入例・間違えやすい点・書類紛失時の対応まで、順番に見ていきます。
1年目は確定申告、2年目以降は年末調整——手続きが変わる理由
住宅ローン控除の手続きは、1年目と2年目以降で変わります。ここを取り違えると「毎年確定申告が必要」と誤解しがちです。
初年度は、給与所得者でも確定申告が必須です。登記事項証明書や売買契約書などを添えて、自分が控除の対象者であることを税務署に申告します。
この初年度の申告を受けて、税務署が控除対象者として登録します。その結果、2年目以降は勤務先の年末調整で控除できる仕組みに切り替わります。
手続きの違い(給与所得者の場合)
| 区分 | 手続き | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 1年目(初年度) | 確定申告 | 登記・契約書等を添えて自分で申告 |
| 2年目以降 | 年末調整 | 書類2点を勤務先に提出するだけ |
初年度の確定申告のやり方や必要書類は、住宅ローン控除の確定申告(初年度)の進め方で詳しく整理しています。まだ1年目の方はそちらをご覧ください。
なお、個人事業主など給与所得者でない人は、2年目以降も確定申告で申請します。年末調整で完結するのは会社員・公務員などの給与所得者です(国税庁「住宅借入金等特別控除」)。
年末調整で必要な書類は2点(税務署の申告書+銀行の残高証明書)
2年目以降の年末調整で使う書類は2点だけです。届く場所と時期が違うので、それぞれ確認しておきます。
2年目以降の年末調整で提出する書類
| 書類 | 発行元 | 届く時期 |
|---|---|---|
| 住宅借入金等特別控除申告書(兼 証明書) | 税務署 | 初年度の確定申告後に残り年数分を一括郵送 |
| 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 | 借入先の金融機関 | 毎年10〜11月頃 |
1つ目は、正式名称を「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」といい、税務署発行の「証明書」を兼ねています。初年度の確定申告後に、残りの控除年数分がまとめて郵送されます。控除期間が13年なら、初年度を除く12枚が一度に届きます。
このため、2年目以降は毎年届くわけではありません。1年に1枚ずつ、その年分を使う仕組みなので、年号を確認して該当年のものを使います。使い終わっていない分は、なくさないよう保管しておきましょう。
2つ目の年末残高証明書は、借入先の金融機関から毎年10〜11月頃に届きます。年末時点のローン残高の予定額が記載されており、申告書に転記する数字はここから取ります。
この2点を勤務先に提出すると、給与から天引きされていた所得税が年末調整で精算され、控除分が還付されます。
住宅ローン控除申告書の書き方【記入例つき】
ここが本題です。申告書は数字を転記する作業が中心で、順番どおりに進めれば難しくありません。記入例をもとに欄ごとに見ていきます。
申告書の記入欄と書き方
| 記入欄 | 書く内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 上部(基本情報) | 氏名・住所、勤務先の名称・所在地 | 税務署長名は空欄でも可 |
| 住宅借入金等の年末残高 | 残高証明書の「年末残高(予定額)」を転記 | 住宅と土地が別ローンなら合算 |
| 取得対価の額 | 証明書記載の取得対価(購入価額等) | 年末残高と比べて少ない方を使う |
| 居住用割合 | 通常は100% | 一部を賃貸等に使う場合のみ按分 |
| 控除額の計算 | 上記の額 × 控除率0.7% | 100円未満は切り捨て |
| 年間所得の見積額 | その年の給与所得(控除後)の見込み | 源泉徴収票の見込みでよい |
手順1:上部の基本情報を書く
まず用紙の上部に、氏名・住所・勤務先の名称と所在地を記入します。所轄税務署長の欄は空欄でも差し支えありません。
手順2:年末残高を転記する
申告書の中心は「住宅借入金等の年末残高」欄です。金融機関から届いた残高証明書の年末残高(予定額)をそのまま転記します。
住宅と土地でローンが分かれている場合は、両方の残高を合計した額を書きます。借入が2件以上あるときも同様に合算します。
手順3:控除額を計算する
年末残高と「取得対価の額」を比べ、少ない方を基準にします。多くのケースでは残高の方が小さいため、残高がそのまま基準額になります。
そこに居住用割合(通常100%)を掛け、さらに控除率0.7%を乗じた金額が控除額です。100円未満は切り捨てます。あわせて「年間所得の見積額」も記入します。
計算した控除額は、その年に納めた所得税から差し引かれます。所得税で引ききれない分は、翌年の住民税から一定の上限内で控除されます(国税庁「年末調整」)。
自分の控除額の目安を先に知りたい方は、住宅ローン控除額の計算方法や住宅ローン控除で年収別にいくら戻るかもあわせてご覧ください。
「控除額が思ったより少ない」「繰り上げ返済すると控除はどうなる」など、自分の数字で確かめたい方は、無料FP相談で家計とあわせて整理するのが近道です。
記入で間違えやすい3つのポイント
書き方自体は単純ですが、つまずきやすい箇所は決まっています。提出前に次の3点を確認しておくと安心です。
提出前にチェックしたい3点
- 年収ではなく「所得」を書く:年間所得の見積額は給与所得控除後の金額。額面年収をそのまま書かない
- 住宅と土地の残高を合算し忘れない:ローンが分かれていると片方だけ記入して控除額が減りがち
- 連帯債務は負担割合を反映する:夫婦の連帯債務なら自分の負担分のみ。備考欄に相手の氏名・負担額を記載
とくに多いのが1つ目の「年収と所得の混同」です。年間所得の見積額は所得額で、額面の年収とは異なります。厳密に1円単位まで合っている必要はありませんが、桁を間違えないよう注意します。
3つ目の連帯債務は、共働き夫婦がペアで借りているケースで関係します。それぞれが自分の負担割合分だけを申告し、備考欄に相手の情報を書くのが基本です。判断に迷う場合は勤務先の担当者や税務署に確認しましょう。
書類を紛失したときの再発行
「申告書を失くした」「残高証明書が見当たらない」——これはよくある相談です。どちらも再発行できますが、入手先が違います。
書類別の再発行の手順
| 紛失した書類 | 再発行の依頼先 | 補足 |
|---|---|---|
| 申告書(税務署発行の証明書) | 管轄の税務署 | 再交付を申請。到着まで日数がかかる |
| 年末残高証明書 | 借入先の金融機関 | 窓口・コールセンター・ネットバンキング等 |
税務署発行の申告書(証明書)を失くした場合は、管轄の税務署に再交付を申請します。金融機関発行の残高証明書は、借入先の金融機関に再発行を依頼します。
いずれも手元に届くまで数日〜10日程度かかることがあります。年末調整の締切に間に合わないと、その年は自分で確定申告をして控除を受けることになります。紛失に気づいたら早めに手配しておくと安全です。
2024年以降の「調書方式」と電子化で変わる点
近年、住宅ローン控除の手続きは電子化が進んでいます。ここは知らない人が多いので触れておきます。
金融機関が住宅ローンの年末残高を税務署へ直接提供する「調書方式」への移行が進められています。この方式に対応した金融機関を利用している場合、年末残高証明書を勤務先へ提出する手間が省けることがあります。
ただし対応状況は金融機関によって異なり、まだ経過措置の段階です。すべての借入先が対応しているわけではないため、自分の金融機関が対応しているかは、届く案内で確認してください。
また、勤務先が年末調整を電子化している場合は、申告書を紙でなくデータで提出できることもあります。会社の案内に従って手続きすると、記入や計算の手間が減ります。制度の最新の扱いは国税庁「住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等の要件」や国土交通省「住宅ローン減税」もあわせて確認しましょう。
転職・退職した年の住宅ローン控除はどうする?
年の途中で転職・退職した年は、どこで控除を受けるかが変わります。この点も見落とされがちです。
状況別の申請先
- 年末に在籍している:その勤務先の年末調整で申請。書類2点を提出
- 年の途中で転職した:前職の源泉徴収票を新勤務先に提出→新勤務先の年末調整で申請
- 年末時点で無職・年末調整を受けられない:翌年に確定申告で控除を受ける
ポイントは「年末時点で誰が年末調整をするか」です。年末に勤務先があれば、そこで前職分もまとめて年末調整され、住宅ローン控除も申請できます。
一方、年末時点で勤務先がない場合は年末調整の対象外です。この年は自分で確定申告をすれば控除を受けられます。控除自体がなくなるわけではないので、申告を忘れないことが大切です。
よくある質問
Q1:住宅ローン控除は2年目以降も確定申告が必要ですか?
会社員・公務員などの給与所得者は、初年度に確定申告をすれば、2年目以降は年末調整で完結します。
税務署から届く申告書と、金融機関から届く年末残高証明書の2点を勤務先に提出するだけです。個人事業主は2年目以降も確定申告で申請します。
Q2:年末調整の住宅ローン控除で必要な書類は何ですか?
2点です。税務署から初年度の確定申告後にまとめて郵送される「住宅借入金等特別控除申告書(兼 証明書)」と、金融機関から毎年10〜11月頃に届く「年末残高証明書」です。
この2点を勤務先に提出します。申告書は年数分がまとまって届くので、その年の分を年号で確認して使います。
Q3:申告書のどこに何を書けばいいですか?
上部に氏名・住所・勤務先を書き、「住宅借入金等の年末残高」欄に残高証明書の年末残高を転記します。住宅と土地でローンが分かれていれば合算します。
取得対価の額と比べて少ない方に居住用割合(通常100%)を掛け、控除率0.7%を乗じた額(100円未満切り捨て)が控除額です。あわせて年間所得の見積額を記入します。
Q4:住宅ローン控除の書類を失くしたら再発行できますか?
できます。税務署発行の申告書(証明書)は管轄の税務署に再交付を申請し、金融機関発行の残高証明書は借入先の金融機関に再発行を依頼します。
いずれも到着まで日数がかかります。年末調整の締切に間に合わないと、その年は確定申告での対応になるため、早めの手配が安心です。
Q5:2024年以降は残高証明書が不要になると聞きましたが本当ですか?
金融機関が年末残高を税務署へ直接提供する「調書方式」に対応している場合、残高証明書の勤務先への提出が不要になることがあります。
ただし対応状況は金融機関により異なり、経過措置の段階です。自分の借入先が対応しているかは、届く案内で確認してください。
Q6:転職・退職した年の住宅ローン控除はどう申請しますか?
年末時点で勤務先に在籍していれば、その勤務先の年末調整で申請できます。年の途中で転職した場合は、前職の源泉徴収票を新勤務先に提出して年末調整を受けます。
年末時点で無職など年末調整を受けられない場合は、翌年に確定申告で控除を受けます。
- 給与所得者は初年度だけ確定申告、2年目以降は年末調整で完結する
- 必要書類は2点——税務署の申告書(証明書)+金融機関の年末残高証明書
- 申告書は年末残高を転記し、少ない方の額に0.7%を掛けて控除額を出す(100円未満切り捨て)
- 間違えやすいのは「年収と所得の混同」「住宅と土地の合算漏れ」「連帯債務の負担割合」
- 紛失は申告書=税務署/残高証明書=金融機関で再発行。調書方式なら証明書が不要な場合も
住宅ローン控除・繰り上げ返済・借り換えを合わせて「わが家にとって一番得な返し方」を数字で整理したい方は、無料FP相談で家計ごと見てもらうのが近道です。
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免責事項
※本記事は公開情報をもとにした整理です。住宅ローン控除の制度内容・必要書類・記入方法・調書方式の対応状況は改正や金融機関により変わる場合があります。実際の申告・記入の最終判断は、国税庁・税務署の最新情報および勤務先・金融機関の案内をご確認のうえ、必要に応じて税理士・FPなど専門家へご相談ください。
