不動産投資の広告では「月5万円の家賃収入」「将来の年金代わり」というキャッチコピーがよく使われます。一方で、購入直後から始まる「ローン返済・管理費・修繕積立金・固定資産税・空室リスク・修繕費」を全て織り込むと、最初の数年は手出しが発生するケースが珍しくありません。
この記事では、サラリーマンが副業として中古ワンルーム1戸(首都圏)を取得した場合のリアルな収支を、30代年収500万円のモデルケースで5年スパンで試算します。「儲かる/儲からない」の二項対立ではなく、「想定通りに動いた場合」「逆風シナリオの場合」の両側を見た上で、判断の材料にしていただくのが目的です。
※ 本記事は一般的な情報整理を目的とした試算例です。不動産投資・税務・金融の個別判断は、FP・税理士・宅建士など適切な専門家にご相談ください。地域・物件・金利・税制によって実数値は大きく変動します。
モデルケースの前提条件
試算の前提を明示します。
- 属性:30代男性・正社員・年収500万円・既婚・子供なし
- 物件:首都圏中古ワンルームマンション・築15年・専有面積25㎡
- 購入価格:1,800万円(物件価格1,700万円+諸費用100万円)
- 自己資金:100万円(諸費用分)
- ローン:1,700万円・35年・変動金利1.9%(参考値)
- 想定家賃:月8万円(管理費・修繕積立金は別途)
- 管理委託:家賃の5%(4,000円/月)
これは「サラリーマン副業の不動産投資セミナー」で紹介される典型的なモデルケースに近い設定です。
月次キャッシュフロー(想定通りシナリオ)
満室稼働を前提に、月次の収支を整理します。
収入
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 家賃収入 | 80,000円 |
支出
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| ローン返済(元利均等・35年・1.9%) | 約55,500円 |
| 管理費 | 8,000円 |
| 修繕積立金 | 6,000円 |
| 管理委託費(家賃の5%) | 4,000円 |
| 固定資産税・都市計画税(按分) | 約4,000円 |
| 損害保険料(按分) | 約1,500円 |
| 支出合計 | 約79,000円 |
月次キャッシュフロー(想定通り)
80,000円(家賃)− 79,000円(支出)= 約 +1,000円/月
「ほぼトントン」が、想定通りシナリオの実態です。
「月5万円の家賃収入」という広告コピーは、ローン返済を「経費」とせず家賃のグロス金額だけを見たケースで使われます。実際のキャッシュフローは、想定通りシナリオでも+1,000円〜+5,000円のレンジに収まることが多いです。
月次キャッシュフロー(逆風シナリオ)
実務では、次のような逆風が必ず発生します。
逆風1:空室期間(年1回・1〜2ヶ月)
入居者の入れ替え時に、平均1〜2ヶ月の空室が発生します。退去時の原状回復費(5〜10万円)も合わせて発生することが多いです。
年間に換算すると、
- 空室1.5ヶ月分の家賃損失:12万円
- 原状回復費:6万円
- 合計:年18万円の追加負担
月割で約 −15,000円/月の負担になります。
逆風2:突発修繕(数年に1回・10〜30万円)
エアコン交換・給湯器交換などの設備修繕が、築15〜20年の物件で5年に1回程度発生します。
- 1回20万円とすると、月割で約 −3,300円/月
逆風3:金利上昇(変動金利の場合)
変動金利が0.5%上昇すると、月返済額は約4,000円増えます。
- 金利+0.5%:−4,000円/月
逆風シナリオの月次キャッシュフロー
+1,000円(想定通り)
− 15,000円(空室・原状回復)
− 3,300円(突発修繕)
− 4,000円(金利上昇)
= 約 −21,300円/月
逆風が重なると、月2万円前後の手出しが発生する計算です。これがサラリーマン不動産投資の「リアルな下振れ側」です。
税制メリットの試算
不動産投資には、税制面のメリットがあります。
減価償却による損益通算
- 中古ワンルーム(築15年・耐用年数の残存年数算定後)の減価償却費:年30〜50万円程度(建物比率・構造による)
- 不動産所得が赤字になった場合、給与所得と損益通算可能
試算
年収500万円・所得税率20%のサラリーマンの場合、
- 不動産所得が年30万円の赤字 → 損益通算で課税所得が30万円減
- 所得税の還付:約6万円/年
- 住民税の軽減:約3万円/年
- 合計:約9万円/年の税メリット
これを月割すると、約 +7,500円/月の実質的なリターンになります。
想定通り+税制メリット
+1,000円(想定通り)+ 7,500円(税メリット)= 約 +8,500円/月
逆風+税制メリット
−21,300円(逆風)+ 7,500円(税メリット)= 約 −13,800円/月
税制メリットを加味すると、逆風シナリオでも手出しは月1〜2万円のレンジに収まる、というのが現実的な数字です。
5年間の累計収支シミュレーション
ここまでの数字を5年スパンに拡張します。
想定通り+税メリット維持シナリオ
+8,500円/月 × 60ヶ月 = +51万円(5年累計)
逆風+税メリットシナリオ
−13,800円/月 × 60ヶ月 = −83万円(5年累計)
ローン残債の減り方
5年経過時点で、ローン残債は約 1,540万円(1,700万円から約160万円減)。
物件の市場価格が購入価格と同水準で推移した場合、5年後の純資産は、
- 想定通りシナリオ:物件1,800万 − 残債1,540万 ± 累計収支
- = 約260万円 ± 累計収支
物件価格の下落リスク(築20年で1割下落の想定で約180万円)を織り込むと、純資産は100万円前後のレンジになります。
サラリーマン不動産投資の「向く人」「向かない人」
ここまでの試算から、向き不向きの判断軸を整理します。
向く人
- 月2〜3万円の手出しを5〜10年継続できる家計余力がある
- 給与所得が安定していて、損益通算の税メリットが活かせる
- 物件選定・管理会社選定を、外部FP・宅建士と相談しながら判断できる
- 「キャッシュフローではなく、ローン残債の減少で純資産を作る」設計を理解している
向かない人
- 月2〜3万円の手出しが家計を圧迫するレベル
- 「月5万円の家賃収入」を即時の手取り収入と認識している
- 物件選定をセミナー営業に一任して、第三者FP・宅建士の意見を聞かない
- 短期で売却益を狙う想定(中古ワンルームは短期売却で損が出やすい)
始める前に必ずやっておきたい3つの動き
不動産投資セミナーに参加する/物件購入を検討する前に、最低限やっておきたい動きです。
動き1:独立系FPに「自分の家計で耐えられるか」を相談
セミナー主催の不動産業者ではなく、独立系FPに「自分の年収・家計で、月2〜3万円の手出しを5〜10年継続できるか」のシミュレーションを依頼します。家計の防衛資金(6ヶ月分の生活費)を確保した上での判断ができます。
動き2:セミナーは複数社で比較
1社のセミナーだけで決めると、提示される物件・条件が市場相場かどうか判断できません。最低3社のセミナーに参加して、
- 想定家賃の算出根拠
- 管理費・修繕積立金の妥当性
- 物件のレントロール・空室実績
を比較します。複数社の話を聞くだけで、各社のセールストークの偏りが見えるようになります。
動き3:宅建士に「物件の担保評価」を確認
購入候補の物件が決まったら、不動産業者の評価とは別に、宅建士・不動産鑑定士に担保評価を確認します。「購入価格 vs 担保評価」の乖離が大きい物件は、転売時にローン残債を割るリスクが高い、という判断ができます。
資料請求・FP相談・セミナー比較の活用
不動産投資の判断材料を集める段階では、
- 無料で不動産投資セミナーを探す(Oh!Ya) — 各社のセミナーを比較
- [ASPリンク:A8.net ウェルスコーチ] — 独立系FPによる家計シミュレーション
- [ASPリンク:A8.net タウンライフ 不動産資料請求] — 複数業者の物件資料を一括取り寄せ
を組み合わせると、「不動産業者の話」「FPの中立的な視点」「複数物件の比較」の3点が揃います。
無料セミナー・無料相談は営業色を含むことを前提に、その場での契約は避けて、必ず持ち帰って判断するのが安全です。
まとめ|「月+1,000円」と「月−13,800円」の間でどう設計するか
サラリーマン副業の不動産投資は、想定通りでも月数千円のキャッシュフロー、逆風が重なると月1〜2万円の手出しになる、というのが現実的な数字です。
「儲かる/儲からない」の二項対立ではなく、
- 月2〜3万円の手出しを5〜10年許容できる家計か
- 損益通算の税メリットが、自分の所得帯で機能するか
- ローン残債の減少 + 物件価格の維持で、5年後・10年後の純資産を作れるか
の3点を冷静に試算した上で、判断するテーマです。
セミナー1社の話で決めず、独立系FPと複数社のセミナーで多角的に判断するのが、結果的に最短ルートになります。
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